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設計者のつぶやき | 健幸工房シムラ|自然素材で建てる自由設計の家。青梅市、あきる野市、八王子市、立川市の周辺エリア対応 注文住宅・リノベーション - Part 8

出張版☆家づくり図書館22~自然環境と心地よさのデザイン~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

我が家の茶碗が新しくなりました☆

 

黒い茶碗。

 

黒い茶碗に真っ白なご飯って、一層おいしく見えませんか??笑

 

 

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デザインってこういう事なんだと思います。

 

ちょっとした気付きや、工夫やアイデア。そして心遣い、想いやり、愛情や優しさ。

 

家族や恋人、友人に接するようにデザインすること。

 

だだそれだけだと思います。

 

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皆さんは家に何を求めますか?

 

性能?強度?技術?コスト?それとも間取り?

 

多分、比べる事ができる要素を求めるとうまくいきません。

 

うまく行かないというよりは、後悔するといった方が正しいでしょうか。

 

完成時、あるいは設計時に100%満足していたとしても、何かと何かを比較し続ける限り、いずれ後悔する時が必ず来ます。

 

性能は今日より1年後の方が、より高いものが開発されます。

 

強度も技術も、今日より明日、明日より1年後の方が進化します。

 

間取りもそう。

 

現時点で100点満点の間取りが出来たとしても、人は必ず歳を取り、家族構成が変わり、ライフスタイルが変わり、趣味嗜好も体の動きも価値観も考え方も変わります。誰しも必ず。

 

何かにこだわるのはとても良い事です。こだわらなければそもそも100点の満足は得られません。

 

でも、こだわりすぎて視野が狭くなると、後から冷静に全体を見た時にまず間違いなく後悔します。

 

そうならないように冷静に客観的にアドバイスするのが私たち設計士の役目ですが。。。(汗)

 

 

でも、、、

 

 

家づくりにおいて、将来に渡っても変わらないものが2つだけあります。

 

 

1つは、その場所の自然環境。

 

 

自然環境というスケールは、人が生きている間になんて到底変わりません。

 

 

何億年もかけて変わってきたのですから。

 

 

 

2つ目は、心地よさ。

 

 

人間の根源的な「感覚」は変わりません。

 

 

鈍るかもしれませんが。。笑

 

 

これは人間というより、生物、動物としての生理的な事だからです。

 

 

子供が気持ち良いという場所、猫が心地よいと感じる場所、私が心地よいと感じる空間、あなたが心地よいと感じる空間、それらは大差ありません。

 

 

夏に、涼しくて風の抜ける縁側が気持ち悪いと感じる人はいませんよね?

 

 

冬に、ぽかぽかと暖かい陽だまりにいると吐き気がするなんて人がいたら、相当病んでますよね?笑

 

 

なので、私が確信をもって言い切れる事は、

 

 

家づくりにおいて1番重要な事は、「自然環境と心地よさをデザインすること」です。

 

 

性能も強度も技術も知恵も工夫もアイデアも。

 

 

全て、そのための要素です。

 

 

全ては、気分の良い毎日という目的のための手段です。

 

 

心地よい家、「好き」な家を創りましょうね!!

 

出張版☆家づくり図書館21 ~健康住宅と天地人~

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

戦国時代の英雄、上杉謙信は孟子の言葉を引用し、戦に勝つための3要素を「天地人」と表現しました。

 

天の時、地の利、人の和

 

現在でも、物事を成しえるための三才として言い継がれていますが、私は、家づくりにおいても全く当てはまると考えています。

 

その時代に、その場所で、誰と創るか。

 

その時代における最善の方法で、その場所を読み解き、共に造り上げ共に生きていく。

 

どれが欠けてもうまく行かないと思いますが、さらに言うなら、

 

天の恵みの絶好のタイミングは地の利には及ばない。その地の利でさえ、人々の団結力には及ばない。

 

語源の孟子の言葉を解読するとそういう意味になるそうです。

 

この3つの条件に優先順位をつけるなら、共に創る人→造る場所→作り方。という事なのでしょう。

 

身が引き締まる思いです。

 

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先日、シックハウスにとても敏感な方が住まいの相談にいらっしゃいました。

 

数々の住宅展示場に行ってみて耐えられなく、弊社のモデルハウスも3つご覧頂いたみたいで、

 

Aは平気で、Bはまあまあ平気で、Cはキツかったと。。。

 

正直すごいと思いました。

 

なぜなら、Aはほぼ100%自然素材で出来ていて、Bは95%くらい、Cは90%くらいでつくられているからです。

 

その微妙な差を理屈でなく感覚で感じ取れるとは、、と不謹慎にもびっくりしました。

 

さらに細かくモデルハウスの各部屋や各ヶ所でのお話しを聞いていくと、何の素材がNGで、何の素材はまあ大丈夫で、何の素材は全然平気かもわかりました。

 

数年前、やはり同じように化学物質に過敏な方がいらっしゃって合板の類は一切使わず、接着剤も使わずという家を造ったことを思い出しました。

 

自然素材100%の仕事というのは私たち設計者にとっても冥利に尽きる機会ですが、現代において自然素材100%の家というのはなかなかハードルが高いのが実情で、その中でも特に大きな2つのハードルをご紹介します。

 

ハードルその1: コストアップ

 

歯がゆいですが、昔ながらの本来の日本家屋は自然素材100%どころか、ビスも金物も使っていませんでした。
いわゆる古い作り方ですが、新しい作り方よりもはるかにコストがアップするのです。

 

しかしながら今回の場合は、コストを理由に自然素材をあきらめたらそもそも家を建てる意味が無いと申し上げました。

 

高いコストをかけるべきと言っているわけではありません。

 

毎日のストレスや不健康な環境をわざわざ何千万円もかけてつくるなんて馬鹿げているし、私はどんなにお金を積まれてもそんな家の設計はお断りします。

 

予算は誰にでもあり、状況は人によって違います。

 

考えるべきは「何を優先するか」です。そしてそれは一人一人違います。

 

人によって状況、希望、事情、好み、ライフスタイル、全て違うのにも関わらず、部分部分を抽出して比べ、高い安いと比較するのは時間の無駄です。内容が違うのですから。

 

大切なのは総合的な結果

 

「それらを含め私の場合に全体でいくらなのか」

 

比べるとしたらそれ以外にありません。

 

 

 

ハードルその2: 耐震性

 

自然素材の家というのは「素材」としては人間にとって何より健康的で自然で最適な素材ですが、科学的に研究され人の手で作り出された工業製品と比べると「強度」が劣ります。

 

これが最大の弱点です。

 

しかし、方法はあります。

 

実は「耐震」という考え方は日本本来の考え方ではないと知っていましたか?

 

昭和20年に太平洋戦争が終わり、日本はアメリカ軍主導の下で復興計画や様々な政策が立てられました。

 

建築基準法もその内の一つで、昭和25年に施行されました。

 

その時に定められた地震対策が「耐震性」です。

 

なので、耐震という考え方はアメリカの考え方です。地震に対して耐える、力に力で対抗する考え方。

 

アメリカっぽい、、とか言うと色々まずいのであまり言いませんが。笑

 

向こうは地震ではなくハリケーンの気候風土ですから、そのためかも知れませんね。

 

話は戻って。

 

「耐震」は建築の強度にとって基本であり、有効な考え方の一つです。

 

現在では最も経済的な手法です。

 

 

でも、、、地震対策は「耐震」だけではない事をご存知ですか?

 

 

〇ーベルハウスは「耐震」

 

法隆寺は「〇震」

 

スカイツリーは「〇震」

 

〇には何が入るでしょう?

 

答えは、、、

 

今週末、9/17・18・19に地震対策セミナーを開催します!!笑

 

技術的、建築力学的有効性とともに、保険や保証などリアルなお金のお話も聞けます。

 

設計・施工とともに不動産、税金、全体資金計画まで一貫してフォローできるシムラならではの総合的で複合的な現実的セミナーです。

 

ご興味ある方はぜひ、健幸工房シムラまでお問合せ下さい。

 

前述しましたが、大切なのは「結果」です。

 

耐震も〇震も、省エネも断熱も気密も、自然素材も。

 

全ては「結果」のための数あるアプローチの中の一つです。

 

天・地・人

 

その時に、その場所で、私たちと、どんな手段を用いて、何を優先して、その場合に最適な「結果」を創り出すか。

 

ただ、それだけです。

 

そして私たちの家づくりのプロとしての役目はそれに尽きます。

 

聞いておいてきっと損は無いですよ☆

 

 

健幸工房シムラ

0428-31-5550

info@sumitai-ie.jp

 

 

 

 

出張版☆家づくり図書館⑳ ~家の風景。なんかイイ家~

こんにちは!暮らし冒険家の白岩です。

 
肩書きが色々変わってごめんなさい。自分の職種を何て呼べば良いか、迷走しています。笑
 
誰かイイフレーズ教えて下さい。☆
 
さて、今日は「風景」というキーワードでお話しができればと思います。

 

「風景に馴染む家を考えなさい。そうすれば住む人にも馴染むから」

 

よく学生に言うんですが、、、師匠のパクリです。笑
 

私もはじめは意味がよく分からなかったのですが、確かに歴史に残る名住宅や、建築賞などを受賞する家はそんな家ばかりです。
 

住宅設計の基本は、内から考え、外から考え、また内から見直し、また外から見直し、、、の繰り返しなのですが、確かにそれを延々と繰り返していると、建築も人と同じで内面が外観ににじみ出るようになっていきます。
 

住む人に馴染むというのは、分かる気がします。
 
住みやすい。使いやすい。心地よい。好き。落ち着く。ワクワクする。。。
 
いずれも住宅設計においてマストな要素です。

 

では、風景に馴染むとはどういう事なのでしょう。色々デザインしてきた結果、当てはまるキーワードは、
 
しっくりくる、なんかイイ という言葉でした。
 
それは半分は理屈で、もう半分は理屈ではない感性によって導かれます。

 
まず、風景とはつまりその国、その地域、その敷地の気候風土です。
 
雨が多い地域なら屋根が大事だし、風が強い地域なら壁が大事。
 
北海道と沖縄、日本海側と太平洋側では大きく家の造りかたもカタチそのものも変わります。
 
それらは理論から導かれるカタチです。
 
もう半分の感性からのカタチとは何か、、、
 
例えば、日本人で神社やお寺を生理的に受けつけない人って、すごく稀だと思います。
 
そして、なんか知らないけど懐かしい感じや、神聖な感じや、凛とした感じを受けると思います。
 
理論が気候風土からくるものだとしたら、感性は文化やDNAレベルのものです。
 
そしてそれは、気候風土と深い関係性があります。文化は気候風土から生まれますから。
 
人の命を守る目的で生まれた「家」であれば特に。
 
デザインセンスや職業とか知識とかは関係ないです。もっと深いところで私たちってほとんどの人が同じ「感性」を持っています。

 

以前、研究室の助手をしていた頃、学生たちにあるアンケート調査をしてもらいました。

 
①南欧風の建売住宅  ②日本の町家  ③ガラス張りのクールな家  の3つを見せて、

 
「なんかイイ」と感じる家はどれですか?

 
「カッコイイ」と感じる家はどれですか?

 
街でよく見る家はどれですか?

 
とアンケートをとった所、「なんかイイ」は②で95%くらい、「カッコイイ」は③で75%くらい、「良く見る」が①で90%くらいでした。予想通りの結果でした。

 

大量生産住宅が溢れた現代では、よく見るのは①なのですが、私たちの潜在意識の感性にひっかかるのは②なんですね。
 
そして言うまでもなく、②の家は日本生まれの日本育ちですから、日本の気候風土にもバッチリ適応しています。

 

数年前、杉並区の建売住宅がずらーっと並んでいる中に、焼杉板という日本古来の技法でつくった黒い小屋みたいな外観の家をつくりました。
 
周りは真っ白な、なんとか風とかなんとか調という商品名の住宅たち。
 
やっぱり浮くかな~と建て主さん共々最後までドキドキしていました。
 
完成して、遠くから眺めて見たら、、、なんとその家が一番風景に馴染んでいたんです。
 
そこは近くに善福寺川が流れていて緑道があり、周囲に公園や学校がある風景だったからか、川の対岸から見たらその家だけが緑道の木々に溶け込み、逆に周辺に建ち並ぶ〇〇風の家々がすごく異質な風景をつくっていました。
 
日本だけど日本じゃない、テーマパークのような風景に見えました。その事が今でも心に残っています。

 

現在、日野市でも日本の町家を踏襲したデザインの家をつくっています。
 
杉並の家と同じように、周囲の建売住宅とは全然違うのですが、引いて風景として見てみるとこの家だけがなんともこの場所に馴染みます。

 

なんかイイんです。笑

 

家づくりってそんなものです。もう今の時代、性能や耐久性なんて当たり前にみんなクリアーしています。(まだ一部のローコスト系は30年前のままですが、、、苦笑)

 
なので、直感で、感性で、好みで、「なんかイイ」家をつくって下さい。

 
なんかイイを突き詰めていけばそれは、みんなにとってなんかイイ家になります。

 

風景にとってなんかイイ家になります。

 

日本にとってなんかイイ家になります。

 

そして、あなたとあなたの家族にとって、すっごくイイ家になります。

 

 

もちろん、私のような建築デザイナーにとっては「カッコいい」家も大歓迎ですけどね!!笑

 

 

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出張版☆家づくり図書館⑱ ~その場所をデザインするという事。その場所に住むという事~

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

毎日暑い日が続きますね(;^_^A

 

でも、、、実は50年前と気温はほとんど変わっていないって知ってました??

 

もちろん観測点は丘の上の環境状況が安定している場所にあるので、「気温」は変わってなくてもコンクリートジャングルの蓄熱効果やアスファルト路面の照り返し、車や機械の排ガス量は跳ね上がっているでしょうから、「体感温度」はだいぶ変わっているとは思いますが、地球環境そのものは変わってなかったんです。。
 

この「体感温度」という考え方が家づくりにとってもとても重要になってきます。

 

50年前と変わっていないのになぜテレビでもなんでも口癖のように「昔はこんなに暑くなかった」と言っているのか。

 

最大の原因は「温度差」による「体感温度」です。

 

クーラーがんがんの部屋からいきなり外に出たら、猛暑日でなくとも暑く感じます。

 

甘い物を食べた後に辛い物を食べたら、いつも以上に辛く感じます。

 

人間の体は環境に適応するように出来ていますから、私たちが感じているのは気温そのものではなくて、温度の「差」なんですよね。

 

数値ではなく「感覚」です。

 

家もそうです。

 

本当に大切なのは、耐震等級がいくつだとか、外皮熱貫流率が0.6だとか、材料が何だとかではなく、その先にある「空間の心地良さ」です。

 

性能の数値も、材料の成分も、何もかも、全ては住む人が心地良いと感じるための手段であり目的ではありません。

 

決して性能を否定しているわけではないですよ。その先にある目的がしっかりと無ければ、性能は机上の数字遊びになってしまうという事です。

 

(家は性能。のキャッチフレーズで絶好調の某大手ハウスメーカーにも知人がたくさんいるのでちゃんと言っておかないと。。笑)

 

家において考えると、大切なのはどういう性能の箱をつくるのかではなく「どう感じる環境をつくるか」という事です。

 

それは家をつくるという発想ではなく、「暮らしをつくる」という発想で導かれます。

 

そう考えると、先人の知恵、日本家屋はよく考えられていました。

 

その場所を照らす日差し。

 

時間によって形を変える日陰。

 

春夏秋冬ごとの風の流れ。

 

そして、家の外と内をゆるやかにつないでいく「間」という考え方が日本住宅の根源です。

 

冬は暖かい日差しを呼び込み、夏は強い日差しを遮り、窓を開ければ家全体に風が流れ、障子を開ければ絵画のように草木が映る。

 

そうやって自然と共生し、自然を利用し、自分たちにとって快適な住環境を創ってきたんですね。

 

以前ある設計コンペで、十二ひとえの家ってのを設計して最優秀賞を頂きました。

 

家を日本古来の女性の装束に見立て、寒ければ着て暑ければ脱げるように設計しました。

 

玄関扉をはじめ、障子やふすまや引き戸を何枚も何枚も設置して、冬は全部閉めて部屋の真ん中で寝て、夏は全部開け放って別荘みたいになる家。

 

なぜ高い評価を頂けたのか。あの頃は思いの強さだけで前しか見ずに突っ走っていましたが、今なら俯瞰的に良くわかります。

 

昔の人は、科学的な数値では分かっていなくても体感で分かっていたんですね。

 

そしてそれが正解だと思います。

 

そこに住むのはデジタル温度計ではなく、私たち人間ですもの。

 

学校のテストのように、いつの間にか僕らは正解が一つしかないと、机上の計算機で出た数字がさも正解かのように思い込みがちですが、違いますよね。。。

 

私もまだ駆け出しの頃はよく、お施主さんと計画敷地にテント張ってキャンプしたり、ブルーシート敷いて一日中酒盛りしたりしてました。笑

 

一日住んでみないとその場所の事なんて分からないですもの。

 

今では、朝昼晩の重要な時間帯にピンポイントで何度か行けば分かるようになりましたが。

 

私はよく、工事現場で猫を探します。

 

猫って、その場所の一番気持ち良い場所で寝てるんですよね。

 

冬なら陽だまりで。夏なら日陰で。

 

昔ながらの大工さんなんかもそれに近くて、大工さんが昼休みに昼寝している所をチェックして、、

 

「あ、こっちの方が気持ち良いんだ!」なんて感じでその場で設計を変えちゃってその大工さんに怒られたり。笑

 

でもなんか、住むって、生きるって、そういう事だと思っています。

 

この場所で、どこが日当たり良くて、どこが風が抜けて、どこが居心地よいのか。

 

感覚ですから、その時の体調や気分でも変わります。

 

計算で出た数字に比べればとってもあいまいです。

 

でもそれが私たち人間で家はその人間のための空間ですから、やっぱりそれで良いと、それが家にとっては正解だと、何度考えてもやっぱりそう思うんです。

 

デジタルな時代にこのようなアナログな考え方はすごく少数派かも知れません。

 

でも私はそんな家づくりをこれからも貫いていきますので、共感頂ける方はいつでもご相談下さいね。

 

健幸工房シムラ 設計/空間デザイン
白岩久知

0428-31-5550
shiraiwa@sumitai-ie.jp

 

出張版☆家づくり図書館⑰~小さくつくって大きく暮らす。自分サイズの家づくり~

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

今週末、完成見学会がありますので、今日はその家づくりについてお話しします。
 
テーマは「小さくつくって大きく暮らす家」
 
家は小さければ小さい方が良いです。
 

まず単純に建設コストが下がる。

建った後からの冷暖房エネルギーや照明エネルギー消費量も下がり光熱費が下がる。

固定資産税も下がる。

土地も小さくて済むので、土地のコストも下がり、土地の税金も下がる。

将来のメンテナンス費用も下がる。

必要以上に面積にかかっていたお金を「建物の質=生活の質」にかけられる。

 

小さく建てる事にはデメリットが無く、メリットしかありません。

ただし、窮屈になってしまっては本末転倒です。

窮屈な家。ストレスのかかる家。住みづらい家。では、そもそも家を建てる意味が無くなってしまう。

なので、同じ満足、同じ住み心地、同じ暮らしやすさ、であれば小さければ小さい方が良いという事です。
 
そのために必要なのはただ一つ。

 
アイデアと創意工夫。これに尽きます。

そしてこれは私たち設計士にかかっていますので、私たち設計士は日々新しいデザインを考え、先人の知恵を学び、各種設計コンペなどでその考えが社会に適用するか確かめたりします。

 

皆さんは家ってどのくらいの面積が必要だと思いますか?

 

どこかで、部屋は6帖だとか8帖だとか、見た事聞いた事ある数字を鵜呑みにしていませんか?

 

だとしたら、売り手側の都合にまんまと引っかかっています。

 
だって僕らは、大きい家にしてお金をいっぱいかけてもらった方が儲かりますもん。笑

 

第二次世界大戦後、やっと人々に安息の時代がやってきて生活が安定し、急速に復興が進み経済成長を遂げていく過程で、家族が増え、ベビーブームが訪れ、日本には家が足りなくなりました。

 

そこで画期的な家づくりが発案されました。

工場生産による大量生産型住宅、ハウスメーカーの誕生です。

第一号は、ダイワハウスによる3時間で組み立てられる勉強部屋「ミゼットハウス」で、建築学科の教科書にも出て来ます。

この頃の間取りは、DK+2部屋という間取りが多かったようです。

キッチンと食堂、主に来客時に居間として使う小さめの部屋、家族がみんなで寝るための少し大きめの部屋。

来客が多い時や親せきが集まったりした時は、2部屋つなげて大きな部屋にしました。

子供たちは個室を持たず、居間で宿題をしてみんなで寝ていましたが、兄弟が増え、生活も豊かになるにつれ子供にも個室が必要になってきて登場したのが前述したミゼットハウスです。

お父さんが日曜大工で庭に数時間で組み立てたと言います。
 
この、プレファブリケーションの考え方が家全体にも広がり、「ダイワハウスA型」や「セキスイハウスA型」「松下1号(現パナホーム)」などが相次いで誕生しました。

 

この頃の住宅って、、、必要最小限だった気がします。

 

時代は拡大志向でしたが、一般市民の生活はまだまだ余裕があったわけではないですから、少ない面積を工夫して使っていました。

 

もっと前の時代ですが、「ちゃぶ台」なんかが良い例ですよね。

ちゃぶ台を置けばそこが食堂になり、居間になり、ちゃぶ台をしまって布団を敷けば寝室になった。

子供部屋が必要になれば簡易的に庭に離れをつくり、子供が社会人になって巣立って行った後は、壊すなり、茶室になるなり、お父さんの書斎になるなりと自由さと可変性がありました。
物が少ない時代、決して豊かではない時代だからこその「生活の知恵」があり、それがそのまま「エコなライフスタイル」になっていました。

 

なんか、今の時代と似ていると思いませんか??

 

以前、ある高名な先生に「時代は50年スパンでらせん状に廻る」と教わった事があります。

 

今は、物があふれる時代、世界経済大国第二位の豊かな時代を経て、成熟社会となり、

「豊かだけれど無駄に多くを求めない」「自分自身が人生の価値を決めれる」時代。

50年前のように、「生きるために工夫せざるを得なかった」のではなく、「気持ちに余裕を持って工夫できる」 なんとも恵まれた時代です。

 

こんな時代に、高度成長期の大きければ大きい方が良いだとか、大は小を兼ねるだとか、拡大志向の家づくりは、数百万円ものお金の無駄遣いです。

 

ぜひ、ぜひ、設計士と一緒に、自分には何が大切か。自分に本当に必要なサイズはどのくらいか、考えてみて下さい。
そうすればほとんどの場合、面積は小さくできます。

 

私が某有名ハウスメーカーに在籍していた頃そのハウスメーカーの家を200件くらい調べた結果では、私が個人で設計を受ければ2~3坪は簡単に減らせました。

 

その200件全てにおいて。

 

それも、生活に必要な面積は一切減らさず、無駄(広告に少しでも大きい面積で載せたいがための不要な空間)を省くだけで。。

 
そのハウスメーカーとは当然のごとくケンカ別れしましたが、私はぜひ皆さんに少しでも合理的に効率良く家を建てて頂き、節約できたお金を、家の寿命を高められる素材を使ったり、断熱性能や耐震性能を上げたり、家の中の空気環境を良くする仕上げ材にしたり、一生モノの家具を造ったり、子供たちと出かけるための車を買ったり、、
毎日の暮らしを、皆さんの人生を、豊かにする事に使って欲しいです。

 

どうか皆さん、自分たちの価値観で、自分たちのライフスタイルで、自分たちなりの家を、一度きりの自分たちの人生のステージを、創り上げて下さいね☆

 

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