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設計者のつぶやき | 健幸工房シムラ|自然素材で建てる自由設計の家。青梅市、あきる野市、八王子市、立川市の周辺エリア対応 注文住宅・リノベーション - Part 6

出張版☆家づくりカフェ01 十人十色の家が出来るまで~その敷地にあなたが住む~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

月1で開催している無料セミナーですが、11月より、家づくり図書館から家づくりカフェへリニューアルします!!
なにが変わるかと言いますと、、、

 

特に何も変わりません!笑

 

いや、少し変わります。

 

私が好きなカフェや旅先で見つけてきた豆で自前コーヒーを淹れてお出しして、もっと気楽に家についておしゃべりしましょう!という、セミナーというより女子会になります。笑

 
図書館だとちょっと勉強のにおいがして、不真面目な私は肩が凝っちゃったのでカフェにしました。皆さんぜひ、お茶しに来て下さい☆

 

なので、この出張版ブログもリニューアルしました!タイトルだけ。

 

記念すべき第一回目の今日は、初心に戻って「注文住宅」という事の基本をおしゃべりしたいなと思い、「十人十色の家づくり」というテーマにしてみました。

 

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家は一つとして同じものはありません。

 

あるとしたら、住み手が不在の住宅。つまり建て売り住宅。

 

もしくは、大量生産の規格型住宅です。

 

需要や目的がある以上、それらを否定はしませんが、私の人生には不要かな。笑

 

でも実は私は、現在の多くの注文住宅も間違っていると感じています。

 

それは、「はいはい住宅」がほとんどだからです。

 

「注文住宅」という言葉に規定はありません。言った者勝ちです。
家が建つ前に住み手が決まっていて、住み手の注文が少しでも反映できれば注文住宅と言えます。

 

つまり、建売住宅以外は全て注文住宅と言える事になります。

 

建て主が3つのトイレの中から好きな物を選べれば注文住宅です。

 

建て主の言う事に、はいはいと答えて設計すれば注文住宅です。

 

ちょっと言い方にトゲがありますが、でもホントの話です。

 

皆さんは注文住宅のハウスメーカーなどで、「このプランの中でどれが良いですか?」や「次回までにこの中から好きな壁紙を選んで来て下さい」と言われた経験は無いですか?

 

ちょっと裏話しましょうか。

 

これらはとてもうまくできた魔法の言葉です。

 

まず、うまく誘導したいくつかの中から選べるようにする事によって、「注文住宅」というイメージを作れます。

 

さらに、建て主に「選ばせる」事で責任が作り手から建て主に移ります。

 

私はあるハウスメーカーで商品開発を手伝っていた時に、その様を横目で見ていて、巧妙だなあとよく思ったものです。

 

ちゃんとマニュアルもありますし、営業担当の新入社員たちには「研修合宿」みたいなものもがっつりありましたしね。

 

私には「洗脳合宿」にしか見えませんでしたけど。。笑

 

家づくりだって商売ですから、そういう営業的側面はあって当然だと思います。
需要だってあります。

 

あとは好きか嫌いかだけです。

 

私は嫌い。ただそれだけです。笑

 

話を戻して。

 

この注文住宅と言う名の「選択住宅」

 

何か変だと思いませんか?

 

皆さんはなぜ不動産や工務店に家の相談をしますか?

 

専門家のアドバイスが欲しいからですよね?
そう。この一連のやり取りの中には、専門家としての「提案」や「アドバイス」が抜けているんです。

 

もちろん、最後に決めるのは施主である皆さんです。

 

でも、裁判には弁護士が必要なように、病気になれば医者が必要なように、家づくりには家づくりの専門家のアドバイスが最重要ポイントになります。

 

こういう、専門家がアドバイスせずただ右から左へ仲介するだけの家づくりは結構あります。

結構どころか、全体の割合で見れば注文住宅と名のつく家づくりの大半はこの手法なのが現実です。

 

その方がこちらはラクですもん。笑

「お客様の言った通りですが何か?」という殺し文句が使えるわけです。

 

でもそんなの、商売かも知れないけれど、家づくりでは無いです。

 

ある高名な先生はそういう家づくりの仕方を「販売住宅」と呼んでいました。

 

その間にあるのは、人と人との関わり合いではなく、契約書の行き交いだけです。

 

楽しくないですよね。私は楽しくないです。

 

楽しくないなら、その選択は間違いです。

 

どんなに性能が良くても、何かの数値が高くても、欲しくもないもの、楽しくもないことに、何千万円もかけれないじゃないですか。

 

家づくりも皆さんの人生もビジネスでは無いんです。

 

「なぜ家を建てるのか」

 

そういう意味でも今日は原点のお話しができればと思います。

 

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注文住宅には、「選択住宅」と「提案住宅」があると思って下さい。

 

そして、求めている家が「選択住宅」でも良いのなら、注文住宅ではなく建売住宅の中から選択する事をおススメします。

 

その方が圧倒的に安いですし、性能も間取りもデザインもそれなりのものが、探せばたくさんあります。

 

逆に、今日のテーマの「十人十色」の家を求めるのであれば、専門家が「提案してくれる」住宅を選んで下さい。

 

そこがスタートであると同時に、その後の全てが決まりますので慎重に。

 

逆に言えば、提案型住宅であれば勝手に十人十色になります。

 

だって、あなたと同じ人なんて他に一人もいないですし、それに加え、あなたと同じ敷地は他に一つもありません。

 

その敷地にあなたが住む。

 

それだけでもう世界でたった一つの「与条件」ができているのです。

 

その与条件を丁寧に考えさえすれば、勝手に「世界で一つだけの家」が出来上がるんです。

 

ただし!!

 

「ちゃんと丁寧に考えた」世界で一つだけの家はそんなに奇抜な家にはまずなりません。
住む人がよほどの変わり者でない限り。

 

たまに真っ赤とかボーダー柄の家が出来て、役所とバトルになってますが。笑
住むのは同じ人間ですから、大きな部分ではそんなに変わりません。

 

では、その十人十色の家は何が違うのか。

出来上がるまでに私たち設計者が何を考え、どんな提案をしているのか。

その一端をお話しします。

 

 

①敷地を読み解く

 

例えば下の写真の家は、正面側が西です。

 

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つまり、北に屋根が流れていて、南に向かって高くなっています。

 

教科書通りですと、これはNGです。

 

夏の強い日差しを遮るには南に向かって屋根が下りていかねばなりません。

 

しかし、この敷地を見た時に、南に家が建つ事は分かりきっていました。

誰だって南側を空けたいですから、当然、なるべく北側(こちら側)に寄せて。

 

そうなると、まともに教科書通り計画してしまっては南側からの日照を自ら失ってしまいますから、1階の南側の窓は洗濯物干し用とし、大きめのウッドデッキとその上に大きな庇を付け、その庇は透明にしました。

 

すると、透明な庇を通って柔らかくなった光が1階のリビングに落ちてきます。
夏の強すぎる直射日光は衣類を痛めたり、色落ちさせてしまいますから、洗濯物にとっても良い結果となりました。

 

もう一つ、この建物には教科書通りでは無い所があります。

 

西側に大きな窓がある事です。

 

当然、西日が、、、という事になりますが、この敷地は東側にマンションが建ち、南は前述した通り。北も隣家。

西だけが道路を挟んでその向いは駐車場。
かつ、少し高台にあるので西側にとても遠くまで視界が広がっていました。

 

私は迷わず、2階の西面に大きな窓を提案しました。
さらにベンチを兼ねた出窓にして、窓際に座れるようにしました。

 

建主さんがこの家に住み始めて約1年。今では、この場所が一番気持ち良いと言って下さっています。夕焼けはもちろん、遠くに花火も見えるとか。

 

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これは一例ですが、

 

皆さんも私たち設計者も、「どこかで聞いた事がある」「誰かに言われた」「何かに書いてあった」
という「自分の事ではない机上の一般論」に捉われすぎていませんか?

 

それでは多分、「自分なりの家」や「その場所の家」というのは出来ないと思います。

 

当然ですよね。自分の価値観ではない事、その場所固有の条件ではない事、つまり今回の計画に関係ない事を考えてるのですから。

 

西日は嫌ですか?でも、夕焼けはとても綺麗ですよね。

 

もし何も考えずに教科書通り西日を嫌って西側に窓を開けなかったら。。

 

その綺麗な夕焼けに一生気づく事ができずに暮らしていく事になります。
これは設計者の罪だと思っています。

 

ならば私は、西日をなんとかする工夫をします。
1日の中のほんの1~2時間だけの事です。

家にいない日はそもそも関係ないし、カーテン閉めたっていいじゃないですか。

 

 

 

②住み手と友達になる

 

押しつけになっては逆効果だし、年齢や性別にもよりますから、友達になるってのは言い過ぎかもしれませんが、要は「住み手を知る」「できる限り本音を引き出す」という事です。

 

その人の好み、趣味嗜好、ライフスタイル、家族構成、身長、、、その人のあらゆる情報が家づくりの大切な、重要な、要素になります。

 

家は物ではないですから。

 

家は環境です。

 

環境は最も目に見えにくく、しかし最も着実に私たちに影響を与える、防ぎようのないものです。だから最も大事です。

 

皆さん、自分の部屋のインテリアを考える時は色々考えたり、好みの色や形の家具を選ぶはずです。

 

家でもそうして欲しいし、インテリアに比べれば専門的要素がたくさんあって分からなければ、私たちにできる限り伝えて欲しいのです。

 

私たちは皆さんの代理人ですから。

 

私たちもできるだけ皆さんと同じ感覚になった上で、自分の家を建てるつもりでイメージしたいのです。

 

そうすれば、家づくりがうまくいかないわけがありません。

 

そんなやりとりをしている時点でもうすでに、他ではできない、ただ選ぶだけでは到達しないステージに上がっているのですから。

 

打ち合わせの図面や資料を見てみれば簡単に分かります。

私たちはプロですから、図面を見た瞬間にどういう家づくりをしているのかが分かります。

よく、そのプランの良し悪しまで相談されるのですが、それは背景を知らない第三者の私が決めれる事ではないです。

 

しかし、そのプランがどれだけ練られているか。逆に練れてないか。というのは見た瞬間で分かります。自分も同じ事をしていますから、経緯や過程、思考の深みや浅さが感じ取れるという事です。

 

偉そうな事を言ってきましたが、逆に私たちが建て主さんから教えられることもたくさんあるんですよ?

 

過去に私が担当したOBさんたちに聞けばたくさんエピソードが出てくるはずです。笑

 

「友達」という表現にはそういう事も含んでいます。

 

対等に対話したいんです。

 

家は対話の中から生まれるんです。

 

だって、住むのは皆さん、造るのは私たち。

 

ならばどれだけシンクロできるかに尽きるじゃないですか。

 

もっと言えば、どれだけお互いの世界を広げられるかでその家の可能性は決まってくるじゃないですか。

 

造り上げましょう。一緒に。

 

たくさんお話ししましょう。お互いの事を。

 

家には関係ないなんて勝手に判断せずに。

 

下の写真は、OBのお客さんとのミスチル会です。笑
お互い大のミスチルファンで、次はミスチル縛りのカラオケ大会です。

 

ホントに関係ないかも知れない。

 

けど、実際私には大事だし、家づくりにとっても大事な事だと感じます。

 

理論的に説明なんてできないけど、そんな事どうでもいいんです。

 

家づくりの本質はきっと、理論だとか数値だとか、そんな頭でっかちな事じゃないんです。

 

西日と夕焼けの話と一緒です。

 

西日を遮れと、机上の論理で出来た教科書には書いてあります。

 

その裏側にある綺麗な夕焼けの情緒には気づきもせずに。

 

人が考え、人がつくり、人が暮らすのですから。

 

人が心地よくなければ、やっぱりそれは間違いだと思うんです。

 

あ、変顔はさすがに関係ないですけどね。笑

 

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出張版☆家づくり図書館31 家づくりの先にあるコト~遊び、愉しみ、暮らし~

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

前回までに数回に渡って家づくりのポイントについてお伝えしました。

 

「デザイン」「素材」「性能」「間取り」

 

これらは「家」をつくるための大切なポイントですが、家をつくるための手段であって目的ではありません。

 

つまり「過程」ですね。

 

すべては、その先にある「結果」を実現するためにあるものです。

 

では、その先にある結果とは、、、

 

デザイン → 喜び

 

素材   → 居心地

 

性能   → 快適さ

 

間取り  → 住みやすさ

 

という事だと思います。

 

つまり家づくりのポイントとは、その先にある暮らしづくりという目的のための手段です。

 

私は、その暮らしづくりこそが家をつくる意味だと思っています。

 

そうではない考え方の家づくりもたくさんあります。

 

なので、結果としての「家」には様々な形や造り方が存在します。

 

もし、ただ単に「家」という「物」が欲しいのであれば、私ならば建売住宅を10社くらい比較して、一番安くて一番性能が良い家を「買い」ます。

 

でも、「家」の先にある「暮らし」を求めるのなら、「造る」しかありません。

 

家という「モノ」は売っていても、暮らしという「コト」は売っていないからです。

 

なので、私たちのように家を「造る」職業にとって最も大切で、私たちにしかできない事は「暮らし」を創造し、提案し、提供することだと思っています。

 

 

では、暮らしって何でしょうか。。

 

私もよく分かりませんし、きっと答えなんて無いのでしょうが、今まで空間のデザインや建築設計をやってきてなんとなく、「遊び」や「愉しみ」という生活のワンシーンの事なのかなぁって感じます。

 

少なくとも、私たちが空間や人の動きをデザインして実現できることはそういうことかなと。

 

そのため私は、「デザイン」「素材」「性能」「間取り」と同時に「暮らし」という生活のワンシーンをイメージし、「遊びの要素」や「愉しみの仕掛け」「空間の余白」などをいつも提案したいと思っています。

 

例えば、座れる床、登れる壁、寝転がって見ているだけで楽しい天井、、という、家自体を遊具のように設計したり、

 

隠し回転扉、登り棒、フタを空けて脱いだ服を入れると洗濯機の横のカゴに落ちて行く洗濯物シューター、、といったワクワクする仕掛け、

 

ちょっと座れる場所、ちょっと雑誌見れるカウンター、ちょっと籠れる屋根裏書斎、、、というちょっとした居場所。

 

家を建てるための法律でも何でもない。

 

性能にも関係ない。

 

別に無くても困らない。

 

でも、あったら愉しい。使ってみたら便利。気づいたらみんなそこに居る。。。

 

そして、、

 

「それがあったからこんな暮らしがはじまった」

 

「これがあったから子供がこういう力を身に付けた」

 

後からそんなお話を聞けた時、この仕事で良かったと、家をどこかの誰かに売るのではなく、〇〇さんと家を「一緒に造って」良かったと思えます。

 

規定通りに条件を満たした箱。それは「家」として正しいです。

 

そういう「家」の選び方も紹介もアドバイスもたくさんできますが、、、

 

その先の、その家での「暮らし」も考えてみませんか?

 

「家」と、その先の「暮らし」を一緒に。

 

出張版☆家づくり図書館30 家づくりのポイント⑤~間取り~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

「デザイン」から始まり、「素材」、「性能」とバトンを繋いできた、家づくりのポイントシリーズ。

 

最後は「間取り」で締めくくりたいと思います。

 

おそらく、家づくりを考える皆さんにとって最も楽しい部分ではないでしょうか。

 

それは、「間取り」が最も皆さんの暮らしに直結し、身近で、家づくりの中で最も誰にでもできる事というか、参加しやすい部分だからだと思います。

 

しかしそれは、専門性が低いという事ではないです。

 

逆に、最も「専門性の差」が出る部分です。

 

誰にでもできるからこそ、誰にもできない分野です。

 

歴史に名を残す建築家たちは皆、「間取り」か「デザイン」で伝説となっています。

 

それはなぜか。

 

それは、「実態が無い」からです。

 

「素材」と「性能」は、理論であり、技術であり、”実在する物質”によるものです。

 

同じ物を使えば誰でも同じ効果を発揮し、同じ性能値を得れます。

 

建築の「工学的部分」ですね。

 

それに対し、「間取り」と「デザイン」は抽象で、感性で、”実在しない創造”によるものです。

 

建築の「芸術的部分」です。

 

ゆえに、誰にでもできて誰にでも出来ない。

 

私の絵とピカソの絵くらいの差がついてしまう世界です。笑

 

(余談ですが、、、大学の建築学科って、工学部と芸術学部にあるって知ってました?
建築学って工学的側面と芸術的側面が両方無いと本当の「完成」には至らないため、総合芸術って呼ばれているのですが、それはこういう理由からです。
家に置き換えれば、強度や安心安全面、快適性が工学的側面。住みやすさ、使い易さ、居心地など、住み続けてもらえる事、必要とされ続けられる事、が芸術的側面。)

 

話を戻して、では何をもって間取りの「良し悪し」を決めましょう。。

 

性能なら数値で、素材なら理屈や快適さという感覚で判断できます。

 

では、間取りやデザインは、、、、

 

単純に好きか嫌いかです。

 

もっと丁寧に言えば、腑に落ちるか落ちないか。

 

もっと具体的に言えば、「この先の”楽しい暮らし”が”たくさん”想像できるか」どうか。

 

極端に言えば、それがなければ、いくら高性能でも、いくら地震に強くても、そもそも「建てる意味が無くなる」からです。

 

(建築の工学的部分だけで判断するならば私は、超高気密で超高断熱で、どんな災害にもびくともしない最先端技術を駆使した最新マンションをお勧めします。
内装は自然素材で。笑)

 

その感覚は、旅行先を決める時や旅館を決める時、食事をする時、服を買う時、の感覚に近いかも知れません。

 

でも、一生暮らす「家」ですから、旅行なら新婚旅行。旅館なら死ぬまでに一度は行きたい旅館。食事なら記念日のデート。服なら勝負する合コン。。。

 

少なくともそのくらいの気合いで好き嫌いを決めて下さい。笑

 

(でも、高級フルコースやハイブランドのスーツを選べって言ってるわけじゃないですよ。逆に肩がこって住むのが辛くなりますからね。。
最高に上手いしょうが焼き定食や、ものすごく着やすい普段着を見つけて欲しいんです。)

 

そして、固定観念や先入観は捨てて下さい。

 

建てて転売するビジネスなら別ですが、本気で自分の家をつくるなら、自分をさらけ出して、心の底から素直になって下さい。

 

そうしないときっと後悔する時がきます。

 

それと、、専門家(もどき)が言う、「普通は」とか「一般的には」という言葉には騙されないで下さい。

 

その言葉の裏側にあるホンネは、

 

普通は=自分たちがめんどくさくないのは

 

一般的には=楽に儲けるには

 

です。

 

名前は出せませんが、以前働いていた大手ハウスメーカーでは、素人の皆さんを納得させる(あきらめさせる)ためのこれらの言葉を、「魔法のことば」なんて呼んで笑ってました。。

 

そんな会社ソッコーで辞めましたけど。笑

 

また脱線しました。大幅に。笑

 

そういう訳で、私たち専門家、特に設計やデザインの部分を担う職種の人たちは、「間取り」と「デザイン」にプライドを持っています。

 

そこが自分たちの土俵であり社会的評価を頂く場所。勝負しているフィールドですから、日本中、いや世界中の誰にだって負けたくはない。

 

見方を変えれば、私たち作り手と皆さんたち住まい手の、想いと想いの真剣勝負の場でもあります。

 

ぜひ、勝負しましょう!スポーツマンシップにのっとって。笑

 

とことん納得するまで。

 

家を建てるくらいの時でしか、なかなかそんな経験できないと思います。

 

何回でもプラン描きますよ。

 

何十回でもデザインします。
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全五回に渡って、私の考える家づくりのポイントをお伝えしてきました。

 

いかがでしたでしょうか。少しは参考になったでしょうか。

 

家づくりを申し込んで頂いた方にいつも聞いている質問があります。

 

「好きな場所はありますか?」

 

「心に残る風景はありますか?」

 

「楽しい時ってどんな時ですか?」

 

私は、そこにどれだけ近づけるかが「良い間取り」そして「良いデザイン」だと思っています。

 

家づくりはとってもシンプルなんです。

 

シンプルに本気なんです。

 

それが、良い家づくり、後悔しない家づくりのポイントです。

 

皆さんの元にも、ただただ「好きな家」が届きますように。

出張版☆家づくり図書館29 家づくりのポイント④~性能~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 
家づくりのポイントシリーズ第四弾は、「家の性能」です。

 
では、家の性能とは具体的にどういう事でしょう。

 
それは大きく分けると、「快適性」と「寿命」です。

 
それぞれ見ていきましょう。

 

 

「家の快適性」

 
家の快適性とは、室内の温熱環境の状態です。

 
それには「断熱性」と「気密性」がセットで必要です。

 
なぜセットで必要かと言いますと、いくら断熱性能が高い物質があっても気密性が悪ければ意味を成さないからです。

 
家を継ぎ目のないひとつながりの材料で造る事は不可能ですから、「断熱性能が高い素材ですき間なく施工する事」が家の温熱環境の生命線です。

 
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日本古来の民家は寒いと良く言われます。

 
徒然草の第55段に「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。」とあるように、日本の民家は夏に対応するように、気密性なんて全くないすき間風ぴゅーぴゅーの造りで出来ていました。

 
それは日本が「高温多湿」の気候風土だからです。その場所の気候風土から文化は生まれますものね。

 
昔の人は木造の家は湿気に弱い事を知っていたし、現代のようにシャワーはもちろんの事、お風呂さえ満足になかったですから、湿気はもちろん夏の汗の処理、や食料の保管、排せつ物の衛生など、夏を過ごすのがものすごく大変だったそうです。

 
そういった生活や衛生面の事情もあって、冬は火を焚いたり服を着込めばなんとかなるが、夏の高温と多湿は耐え難い。と昔の人は思っていたんですね。

 
結果、夏の通気性は抜群で木造建築の湿気対策にもなっていたんですね。

 
良い例が、神社やお寺です。

 
あれぞまさに純然たる木造建築。天然の通気性によって建物を構成する木材は理想的な乾燥状態にあり、何百年何千年と建ち続けています。

 
話は現代に戻って。

 
現代人の私たちはさすがに神社やお寺には住めないですよね。それこそ夏はなんとかなっても、現代っ子の私たちでは冬はとても越せません。

 
皆さんはどうですか?笑

 
「断熱性能が高い素材ですき間なく施工する事」

 
昔はできませんでしたが、今ならできます。

 
具体的には、断熱性能が良く、すき間なく施工できて、さらに建物の動き(木材の収縮や日々の微振動や地震)に追随してくれる柔軟な素材。
現代にはそういう素材があります。

 
(現在多くの家づくりで主流になっている、綿状の断熱材や板状の断熱材ではダメです。新築時は良くても、10年20年もすれば必ずすき間ができます。重力や気圧がある地球上で永久に形が変わらない物なんて存在しませんから。)

 
日本の気候風土に合った姿を、現代の技術で造る。

 
私たちが「温故知新の家づくり」という事をコンセプトにしている理由がこれです。

 

 

 

「家の寿命」

 
家の寿命も大きく2つ。

 
「耐久性」 と 「耐用性」 です。

 
「耐久性」とはそのまま、建物の強度の事です。

 
昨今の大地震で皆さんに馴染みの深い言葉だと、「耐震」などがこれにあたります。

 
耐震とは、建物の地震対策の一つで、他には「制震」と「免震」があります。

 
ちょっと脱線しますが、、

 
「耐震」って、地震大国日本の本来の地震対策ではないと知っていました?

 
耐震とはその字のごとく、地震に対し耐える。抵抗する考え方です。
力に力で対抗する。

 
なんか、日本人らしくないと思いませんか?笑 少なくとも、日本の武道には無い考え方ですよね。

 
これは、、アメリカの考え方です☆

 
あ、やっぱりって思いました?笑

 
あんまり言うとマズいんでこの辺までにして。

 
日本本来の地震対策は、力を受け流す柳のような考え方です。「制震」や「免震」の手法ですね。

 
世界一の地震大国であるはずなのに、築1400年の法隆寺五重塔を初めとする日本の木造建築が世界でも稀にみる長寿命なのは、前述した湿気のコントロールもありますが、この「制震」や「免震」の技術のためでもあります。

 
この辺の詳しい話は、また後日にして。

 
もう一つの「耐用性」についてお話しします。

 
耐用性とは、あまり聞かない言葉だと思いますが、要約すると「建物が使い続けてもらえるか」という事です。

 
現代日本の住宅の平均寿命は約27年です。

 
これは世界でも稀にみる短かさです。。。寺社仏閣や古民家はあれほど長寿命なのに。

 
世界一長寿命の木造建築を誇っていた日本は、いつの間にか「使い捨て世界一」の国になってしまっていたんです。。

 
これじゃご先祖さまたちに怒られますね。。

 
ちょっと脱線しましたが、日本の住宅の平均寿命が27年である理由は、ひどい造り方で建物そのものの耐久性が本当に27年程度という場合もありますが、

 
(安すぎる家には注意して下さい)

 
ほとんどは「住みにくくなる」という理由からです。

 
住む人の年齢の変化、ライフスタイルの変化、趣味嗜好の変化、家族構成の変化 人の一生の色んな変化に家がついていけなくなる事が最大の原因なんです。

 
「4LDK!〇坪!〇〇〇〇万円!お買い得!!」みたいなチラシ、良くありますよね?何千万円ポッキリ!みたいなやつ。

 
いやいや、キャバクラじゃないんだから。笑

 
一生の内に、その家が4部屋同時使用する期間が果たして何年間あるか。

 

いや、そもそも同時に全部屋埋まる時が来るのか。と言う事です。

 
丁寧に家を考える工務店などは、そういう建売(りっぱなし)住宅的な、”雑な”家の造り方に異議を唱え、「可変性のある家づくりを」なんて偉そうに言ってますが、(私たちも。笑)

 
これもまた、先人たちはとっくにやっていました。

 
今のように、30坪近い家でないと狭いみたいな豊かな時代ではなかったためもありますが、ちゃぶ台やふすまが良い例です。

 
一つの部屋に、ちゃぶ台を置くと食堂やリビングになり、ちゃぶ台をたたむと子供の遊び室になり、布団を敷くと寝室になる。

 
二間続きの和室をふすまで区切って、片方を客間にしてもう片方を居間にして、お盆や正月に親戚が集まるとふすまを開け放ち、大広間にする。

 
昔に比べれば少しでも「個室」が必要な現代社会においては、個室が必要な期間だけ個室にし、不要になったら大きなフリーエリアにしたり、書斎にしたり、という個室の可変性がこれに該当します。

 
現代の家の中で最も期間限定となる部屋が個室ですから。

 
ここでもまた、”先人の知恵を現代の需要に合わせて”という「温故知新の家づくり」が大切になってきます。

 
昔の人ってやっぱりすごいですね☆

出張版☆家づくり図書館28  家づくりのポイント③「自然素材」~自然界のタカラモノ~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

前回、人にとっての適合素材は自然素材だと言う所までお話ししました。今日は、その自然素材についてお伝えできればと思います。

 

 

【自然素材のメリット】

 

・素材感 = 触覚

 
手触り、足触り。表面が均質ではない自然素材は、触った時、踏んだ時、人間の触覚に刺激を与えます。
尖っていれば痛いし、握り易い丸みを帯びた木の手摺りを握った時などには「気持ち良い」という感覚を得れます。
人間の身体の先端である手の平と足の裏には、皆さんもご存知のように各臓器と神経がつながっているツボがあると同時に、脳と情報をやり取りする反射区でもあるそうです。

 
外を裸足で歩く事が少なくなってきた現代、さらに家の中に居ても床が合板に木目がプリントされた新建材の床材などでは人間から発する熱を受け止めてくれないために表面が冷たく、感触も良くないがためにスリッパを履いたり、あるいは柔らかすぎるクッション性のある塩ビ系の床材などが多くなってきたために歩く筋肉が発育せず、土踏まずが無い子供も増えていると聞きます。
ぜひ裸足で歩いて気持ち良い床を、手の平や足の裏を健康的に成長させてくれる素材を使って頂きたく思います。

 

 

・素材の表情 = 視覚

 
例えば木の年輪のように、一定ではない自然素材の表情は、1/fゆらぎと言われる自然界のリズムを持っています。
1/fゆらぎは、電車の揺れや風の流れ、川のせせらぎや虫の音など、触覚や聴覚から得られる事が多いですが、木の年輪、土壁や漆喰のランダムな表情など視覚的にもたくさん得られます。
そして人間は、脳へ送られる情報の90%以上を視覚から得られている事を考えると1/fゆらぎのリラックス効果を最も得られるのは視覚からかも知れませんね。

 

 

・自然界の香り = 嗅覚

 
新築のお家に入った瞬間の「新築の匂い」って皆さん経験があると思います。

 
それはタタミの匂いだったり、木の匂いだったり。中にはマンション暮らしが長い人でビニールクロスや接着剤の匂いを新築の匂いと思っている方もいました。
どれも新築の匂いである事には間違いありませんが、良い匂いと嫌な匂いがありますよね。

木やタタミの匂いを「あ~良い匂い~。新築の匂いだ~」って言う方はたくさんいますが、ビニールクロスや接着剤の化学建材の匂いを嗅いで「あ~良い匂い~」っていう人はまずいません。

 
当然、体に良いはずもありませんし、医学的な分類で言えばドラッグと同じです。被害が大きいか小さいかの違いだけです。
害のある食べ物を食べれば気分が悪くなったり腹を壊すなど症状がダイレクトに出て気付きやすいですが、呼吸から入る毒は少量のせいもあり、気づきにくいですよね。

 
それが何年にも渡り蓄積された結果発症したのがシックハウスと呼ばれる、揮発性物質による諸々の健康被害です。
アスベストなんかはその危険性から「時限爆弾」なんて呼ばれてしまっています。
食事であれば体が拒否して吐いたり、下痢などで体外に排出されやすいですが、呼吸によって肺から血液中に取り込まれてしまう揮発性物質は一瞬で全身の細胞を巡ってしまいます。

 
感覚では気付かないミクロな世界の話なので軽視しがちですが、真剣に考えれば考えるほど恐ろしい事です。
私たちの健康にとって最も根本的で最も重要な内容かも知れません。

 

 

 

【自然素材のデメリット】

 
自然素材のデメリットを挙げるとすれば、やはり「お手入れ」に尽きると思います。
デメリットに感じない人もたくさんいるのであれなんですが、めんどくさがりな私はデメリットと捉えがちです。

 
でも、、私たち人間だって、怪我をすれば病院へ行くし、髪の毛が伸びれば美容室に行くし、肩コリが辛ければ整体やマッサージに行きます。それと同じです。

 
自然物である自然素材も手入れが必要です。
汚れるし、傷つくし、ほっとけば腐るかも知れません。
庭木を手入れするように。あるいは愛車を洗車するように。食器を洗うように、手入れして下さい。
自分では大変であれば、専門業者だっています。

 

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皆さんには「一生の宝モノ」はありますか?
想い出のギター、嫁入り道具だった家具、プレミアのついたスニーカー、もう手に入らないレコード、、、、

 

色々あると思いますが、家こそ一生の宝物ではないでしょうか。
それこそ一生暮らす場所であり、一生をかけた買い物であり、多くの人にとって生涯で最大の所有物です。
一生の宝物にならなければウソですよね。

 

少なくとも私たち設計者は一生の宝物を贈る気持ちでデザインしています。

 

今まで設計した建物のデザインは全部覚えています。

 

細かい所は忘れてますが。。笑 でもぶっちゃけて言うと、忘れる部分なんて所詮そんなものだという事です。

 

今気になるその傷、その汚れ。5年経っても気にしている人なんてまず居ません。目につくのはせいぜい1ヶ月といったところでしょうか。

 

だってそんなもの、人生や健康や住み心地には関係ないですもの。

 

生涯に渡って私たちに大きく影響を及ぼすのは、全体のデザインや間取り、性能、そして「素材」です。

 

ぜひ、目に見えやすい表層ではなく、一生モノの中身、「質」の部分に目を向けて5年後10年後、未来で後悔しない素材の選択をして頂ければ嬉しいです。

 

私たちも一生の宝物になる家のお手伝いを全力でします!

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