こんにちは!設計士の白岩です。
2016年最初の家づくり図書館は、「家づくりのバランス」です。
家づくりには、大きく2つのバランスが大事だと考えています。
一つは、デザインのバランス
もう一つは、コストのバランス
デザインバランスはどちらかというと私たち設計士の課題ですので、今回は皆さんに関わりの大きい、コストバランスについてお話ししたいと思います。
最近、尊敬する大先輩が設計した戸建住宅が中古で売りに出されました。
販売価格から予想すると、建物の坪単価は130万円ほどかと思います。
築四年の中古でさえ。。
確かに素晴らしい仕事です。
細部にもとことんこだわり、長い期間かけて丁寧に丁寧に造り込まれている。全てが勉強になります。
私も社会に出て、初めはそういう家づくりをしている設計事務所に勤めました。
しかしある時ふと気付きました。
この建物、自分じゃ買えないな。。
という事は、自分の周りの友達やいわゆる世間一般の多くの人は買えないなと。
自分は一部のお金持ちのための家を造りたいのか。
仮にそうだとしても、果たしてそのお客さんはどこまで望んでいたのだろうと。。
確かに良いものは良いものとして価値があるし、その考えは素晴らしいです。
でも住む人が望んでなかったら、、それは設計者のエゴであり良い建築作品かも知れないけれど、良い家ではないなと。
それ以来、私のスタンスとしては自分でも手が届く、世間一般の人々の手に届く価格をまずベースにしました。
その上で、どこまで質を高められるかが自分が勝負していく土俵だなと。
お金がかかっても良いから全てに高い質を求める方にはそうすれば良いだけの事です。
ベースを最初からその位置、世の中のベースから外れた所に置くのは、家を設計する建築家の姿勢としては違うんじゃないかと思ったんです。
なので今は、コストバランスという事を大切にしてご提案しています。
例えば、
リビングはスッキリきれいに造りたいのでLEDのダウンライト。家の中心で家族でリラックスしたい空間なので、場合によっては奮発して間接照明にして調光までできるようにしてみたり。
玄関は防犯や防虫、毎日の使い勝手を考えLEDの人感センサー付き。
でも、納戸やウォークインクローゼットは100円ショップの裸電球でも充分。(できればLEDの裸電球をオススメしますが)
和室の造作やリビングの魅せる柱や梁などは、木目や色合い質感など、見た目にも美しい材を選びますが、
収納の中や階段の裏など、目に付かない場所は節があってザラザラした見た目は悪い材料でも別に構わない。
など。
ただ、注意して頂きたいのは、見た目が悪いのと素材が悪いのは全く違います。
形も悪く土が付いた野菜。けれど無農薬で採れたての新鮮な野菜。
と、
形も整っていてきれいにパックされた、農薬漬けの野菜。
”野菜として”良いのはどちらでしょうか。という事と似ていると思います。
「本質はどこにあるか」という事ですよね。
木材であれば、まずは強度。家を支える最も大切な骨ですから強度がなくては話になりません。
そして、耐久性。これも強度の延長ですが、長く持ってくれるかどうか。
それには、木材が生きて呼吸しているかという素材の面と、その素材を殺さない使い方をしているかという施工の面が重要になってきます。
いずれにせよ、私たちは表面だけ取り繕った家づくりではなく、天井の裏まで、壁の中まで、床の下まで、もちろん表面に現れるデザインまで。
材料やデザインを適材適所で柔軟に使い分け、コストバランスを考えた、本質的な家づくりを今年もご提案していきたいと思います。
余談ですが、、、
昨日は休日だったのでお昼にパスタを作りました。
ウチはまだ子供がいませんので妻と二人暮らしなのですが、パスタを適当にゆでたら4人家族分くらい作ってしまいました。。。
責任とって私だけ夕飯もパスタですww
コストとかバランスとか偉そうに言ってスミマセンでしたm(_ _)m