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おすすめ物件情報や日々の出来事などお伝えします。

出張版☆家づくり図書館31 家づくりの先にあるコト~遊び、愉しみ、暮らし~

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

前回までに数回に渡って家づくりのポイントについてお伝えしました。

 

「デザイン」「素材」「性能」「間取り」

 

これらは「家」をつくるための大切なポイントですが、家をつくるための手段であって目的ではありません。

 

つまり「過程」ですね。

 

すべては、その先にある「結果」を実現するためにあるものです。

 

では、その先にある結果とは、、、

 

デザイン → 喜び

 

素材   → 居心地

 

性能   → 快適さ

 

間取り  → 住みやすさ

 

という事だと思います。

 

つまり家づくりのポイントとは、その先にある暮らしづくりという目的のための手段です。

 

私は、その暮らしづくりこそが家をつくる意味だと思っています。

 

そうではない考え方の家づくりもたくさんあります。

 

なので、結果としての「家」には様々な形や造り方が存在します。

 

もし、ただ単に「家」という「物」が欲しいのであれば、私ならば建売住宅を10社くらい比較して、一番安くて一番性能が良い家を「買い」ます。

 

でも、「家」の先にある「暮らし」を求めるのなら、「造る」しかありません。

 

家という「モノ」は売っていても、暮らしという「コト」は売っていないからです。

 

なので、私たちのように家を「造る」職業にとって最も大切で、私たちにしかできない事は「暮らし」を創造し、提案し、提供することだと思っています。

 

 

では、暮らしって何でしょうか。。

 

私もよく分かりませんし、きっと答えなんて無いのでしょうが、今まで空間のデザインや建築設計をやってきてなんとなく、「遊び」や「愉しみ」という生活のワンシーンの事なのかなぁって感じます。

 

少なくとも、私たちが空間や人の動きをデザインして実現できることはそういうことかなと。

 

そのため私は、「デザイン」「素材」「性能」「間取り」と同時に「暮らし」という生活のワンシーンをイメージし、「遊びの要素」や「愉しみの仕掛け」「空間の余白」などをいつも提案したいと思っています。

 

例えば、座れる床、登れる壁、寝転がって見ているだけで楽しい天井、、という、家自体を遊具のように設計したり、

 

隠し回転扉、登り棒、フタを空けて脱いだ服を入れると洗濯機の横のカゴに落ちて行く洗濯物シューター、、といったワクワクする仕掛け、

 

ちょっと座れる場所、ちょっと雑誌見れるカウンター、ちょっと籠れる屋根裏書斎、、、というちょっとした居場所。

 

家を建てるための法律でも何でもない。

 

性能にも関係ない。

 

別に無くても困らない。

 

でも、あったら愉しい。使ってみたら便利。気づいたらみんなそこに居る。。。

 

そして、、

 

「それがあったからこんな暮らしがはじまった」

 

「これがあったから子供がこういう力を身に付けた」

 

後からそんなお話を聞けた時、この仕事で良かったと、家をどこかの誰かに売るのではなく、〇〇さんと家を「一緒に造って」良かったと思えます。

 

規定通りに条件を満たした箱。それは「家」として正しいです。

 

そういう「家」の選び方も紹介もアドバイスもたくさんできますが、、、

 

その先の、その家での「暮らし」も考えてみませんか?

 

「家」と、その先の「暮らし」を一緒に。

 

出張版☆家づくり図書館30 家づくりのポイント⑤~間取り~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

「デザイン」から始まり、「素材」、「性能」とバトンを繋いできた、家づくりのポイントシリーズ。

 

最後は「間取り」で締めくくりたいと思います。

 

おそらく、家づくりを考える皆さんにとって最も楽しい部分ではないでしょうか。

 

それは、「間取り」が最も皆さんの暮らしに直結し、身近で、家づくりの中で最も誰にでもできる事というか、参加しやすい部分だからだと思います。

 

しかしそれは、専門性が低いという事ではないです。

 

逆に、最も「専門性の差」が出る部分です。

 

誰にでもできるからこそ、誰にもできない分野です。

 

歴史に名を残す建築家たちは皆、「間取り」か「デザイン」で伝説となっています。

 

それはなぜか。

 

それは、「実態が無い」からです。

 

「素材」と「性能」は、理論であり、技術であり、”実在する物質”によるものです。

 

同じ物を使えば誰でも同じ効果を発揮し、同じ性能値を得れます。

 

建築の「工学的部分」ですね。

 

それに対し、「間取り」と「デザイン」は抽象で、感性で、”実在しない創造”によるものです。

 

建築の「芸術的部分」です。

 

ゆえに、誰にでもできて誰にでも出来ない。

 

私の絵とピカソの絵くらいの差がついてしまう世界です。笑

 

(余談ですが、、、大学の建築学科って、工学部と芸術学部にあるって知ってました?
建築学って工学的側面と芸術的側面が両方無いと本当の「完成」には至らないため、総合芸術って呼ばれているのですが、それはこういう理由からです。
家に置き換えれば、強度や安心安全面、快適性が工学的側面。住みやすさ、使い易さ、居心地など、住み続けてもらえる事、必要とされ続けられる事、が芸術的側面。)

 

話を戻して、では何をもって間取りの「良し悪し」を決めましょう。。

 

性能なら数値で、素材なら理屈や快適さという感覚で判断できます。

 

では、間取りやデザインは、、、、

 

単純に好きか嫌いかです。

 

もっと丁寧に言えば、腑に落ちるか落ちないか。

 

もっと具体的に言えば、「この先の”楽しい暮らし”が”たくさん”想像できるか」どうか。

 

極端に言えば、それがなければ、いくら高性能でも、いくら地震に強くても、そもそも「建てる意味が無くなる」からです。

 

(建築の工学的部分だけで判断するならば私は、超高気密で超高断熱で、どんな災害にもびくともしない最先端技術を駆使した最新マンションをお勧めします。
内装は自然素材で。笑)

 

その感覚は、旅行先を決める時や旅館を決める時、食事をする時、服を買う時、の感覚に近いかも知れません。

 

でも、一生暮らす「家」ですから、旅行なら新婚旅行。旅館なら死ぬまでに一度は行きたい旅館。食事なら記念日のデート。服なら勝負する合コン。。。

 

少なくともそのくらいの気合いで好き嫌いを決めて下さい。笑

 

(でも、高級フルコースやハイブランドのスーツを選べって言ってるわけじゃないですよ。逆に肩がこって住むのが辛くなりますからね。。
最高に上手いしょうが焼き定食や、ものすごく着やすい普段着を見つけて欲しいんです。)

 

そして、固定観念や先入観は捨てて下さい。

 

建てて転売するビジネスなら別ですが、本気で自分の家をつくるなら、自分をさらけ出して、心の底から素直になって下さい。

 

そうしないときっと後悔する時がきます。

 

それと、、専門家(もどき)が言う、「普通は」とか「一般的には」という言葉には騙されないで下さい。

 

その言葉の裏側にあるホンネは、

 

普通は=自分たちがめんどくさくないのは

 

一般的には=楽に儲けるには

 

です。

 

名前は出せませんが、以前働いていた大手ハウスメーカーでは、素人の皆さんを納得させる(あきらめさせる)ためのこれらの言葉を、「魔法のことば」なんて呼んで笑ってました。。

 

そんな会社ソッコーで辞めましたけど。笑

 

また脱線しました。大幅に。笑

 

そういう訳で、私たち専門家、特に設計やデザインの部分を担う職種の人たちは、「間取り」と「デザイン」にプライドを持っています。

 

そこが自分たちの土俵であり社会的評価を頂く場所。勝負しているフィールドですから、日本中、いや世界中の誰にだって負けたくはない。

 

見方を変えれば、私たち作り手と皆さんたち住まい手の、想いと想いの真剣勝負の場でもあります。

 

ぜひ、勝負しましょう!スポーツマンシップにのっとって。笑

 

とことん納得するまで。

 

家を建てるくらいの時でしか、なかなかそんな経験できないと思います。

 

何回でもプラン描きますよ。

 

何十回でもデザインします。
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全五回に渡って、私の考える家づくりのポイントをお伝えしてきました。

 

いかがでしたでしょうか。少しは参考になったでしょうか。

 

家づくりを申し込んで頂いた方にいつも聞いている質問があります。

 

「好きな場所はありますか?」

 

「心に残る風景はありますか?」

 

「楽しい時ってどんな時ですか?」

 

私は、そこにどれだけ近づけるかが「良い間取り」そして「良いデザイン」だと思っています。

 

家づくりはとってもシンプルなんです。

 

シンプルに本気なんです。

 

それが、良い家づくり、後悔しない家づくりのポイントです。

 

皆さんの元にも、ただただ「好きな家」が届きますように。

出張版☆家づくり図書館29 家づくりのポイント④~性能~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 
家づくりのポイントシリーズ第四弾は、「家の性能」です。

 
では、家の性能とは具体的にどういう事でしょう。

 
それは大きく分けると、「快適性」と「寿命」です。

 
それぞれ見ていきましょう。

 

 

「家の快適性」

 
家の快適性とは、室内の温熱環境の状態です。

 
それには「断熱性」と「気密性」がセットで必要です。

 
なぜセットで必要かと言いますと、いくら断熱性能が高い物質があっても気密性が悪ければ意味を成さないからです。

 
家を継ぎ目のないひとつながりの材料で造る事は不可能ですから、「断熱性能が高い素材ですき間なく施工する事」が家の温熱環境の生命線です。

 
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日本古来の民家は寒いと良く言われます。

 
徒然草の第55段に「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。」とあるように、日本の民家は夏に対応するように、気密性なんて全くないすき間風ぴゅーぴゅーの造りで出来ていました。

 
それは日本が「高温多湿」の気候風土だからです。その場所の気候風土から文化は生まれますものね。

 
昔の人は木造の家は湿気に弱い事を知っていたし、現代のようにシャワーはもちろんの事、お風呂さえ満足になかったですから、湿気はもちろん夏の汗の処理、や食料の保管、排せつ物の衛生など、夏を過ごすのがものすごく大変だったそうです。

 
そういった生活や衛生面の事情もあって、冬は火を焚いたり服を着込めばなんとかなるが、夏の高温と多湿は耐え難い。と昔の人は思っていたんですね。

 
結果、夏の通気性は抜群で木造建築の湿気対策にもなっていたんですね。

 
良い例が、神社やお寺です。

 
あれぞまさに純然たる木造建築。天然の通気性によって建物を構成する木材は理想的な乾燥状態にあり、何百年何千年と建ち続けています。

 
話は現代に戻って。

 
現代人の私たちはさすがに神社やお寺には住めないですよね。それこそ夏はなんとかなっても、現代っ子の私たちでは冬はとても越せません。

 
皆さんはどうですか?笑

 
「断熱性能が高い素材ですき間なく施工する事」

 
昔はできませんでしたが、今ならできます。

 
具体的には、断熱性能が良く、すき間なく施工できて、さらに建物の動き(木材の収縮や日々の微振動や地震)に追随してくれる柔軟な素材。
現代にはそういう素材があります。

 
(現在多くの家づくりで主流になっている、綿状の断熱材や板状の断熱材ではダメです。新築時は良くても、10年20年もすれば必ずすき間ができます。重力や気圧がある地球上で永久に形が変わらない物なんて存在しませんから。)

 
日本の気候風土に合った姿を、現代の技術で造る。

 
私たちが「温故知新の家づくり」という事をコンセプトにしている理由がこれです。

 

 

 

「家の寿命」

 
家の寿命も大きく2つ。

 
「耐久性」 と 「耐用性」 です。

 
「耐久性」とはそのまま、建物の強度の事です。

 
昨今の大地震で皆さんに馴染みの深い言葉だと、「耐震」などがこれにあたります。

 
耐震とは、建物の地震対策の一つで、他には「制震」と「免震」があります。

 
ちょっと脱線しますが、、

 
「耐震」って、地震大国日本の本来の地震対策ではないと知っていました?

 
耐震とはその字のごとく、地震に対し耐える。抵抗する考え方です。
力に力で対抗する。

 
なんか、日本人らしくないと思いませんか?笑 少なくとも、日本の武道には無い考え方ですよね。

 
これは、、アメリカの考え方です☆

 
あ、やっぱりって思いました?笑

 
あんまり言うとマズいんでこの辺までにして。

 
日本本来の地震対策は、力を受け流す柳のような考え方です。「制震」や「免震」の手法ですね。

 
世界一の地震大国であるはずなのに、築1400年の法隆寺五重塔を初めとする日本の木造建築が世界でも稀にみる長寿命なのは、前述した湿気のコントロールもありますが、この「制震」や「免震」の技術のためでもあります。

 
この辺の詳しい話は、また後日にして。

 
もう一つの「耐用性」についてお話しします。

 
耐用性とは、あまり聞かない言葉だと思いますが、要約すると「建物が使い続けてもらえるか」という事です。

 
現代日本の住宅の平均寿命は約27年です。

 
これは世界でも稀にみる短かさです。。。寺社仏閣や古民家はあれほど長寿命なのに。

 
世界一長寿命の木造建築を誇っていた日本は、いつの間にか「使い捨て世界一」の国になってしまっていたんです。。

 
これじゃご先祖さまたちに怒られますね。。

 
ちょっと脱線しましたが、日本の住宅の平均寿命が27年である理由は、ひどい造り方で建物そのものの耐久性が本当に27年程度という場合もありますが、

 
(安すぎる家には注意して下さい)

 
ほとんどは「住みにくくなる」という理由からです。

 
住む人の年齢の変化、ライフスタイルの変化、趣味嗜好の変化、家族構成の変化 人の一生の色んな変化に家がついていけなくなる事が最大の原因なんです。

 
「4LDK!〇坪!〇〇〇〇万円!お買い得!!」みたいなチラシ、良くありますよね?何千万円ポッキリ!みたいなやつ。

 
いやいや、キャバクラじゃないんだから。笑

 
一生の内に、その家が4部屋同時使用する期間が果たして何年間あるか。

 

いや、そもそも同時に全部屋埋まる時が来るのか。と言う事です。

 
丁寧に家を考える工務店などは、そういう建売(りっぱなし)住宅的な、”雑な”家の造り方に異議を唱え、「可変性のある家づくりを」なんて偉そうに言ってますが、(私たちも。笑)

 
これもまた、先人たちはとっくにやっていました。

 
今のように、30坪近い家でないと狭いみたいな豊かな時代ではなかったためもありますが、ちゃぶ台やふすまが良い例です。

 
一つの部屋に、ちゃぶ台を置くと食堂やリビングになり、ちゃぶ台をたたむと子供の遊び室になり、布団を敷くと寝室になる。

 
二間続きの和室をふすまで区切って、片方を客間にしてもう片方を居間にして、お盆や正月に親戚が集まるとふすまを開け放ち、大広間にする。

 
昔に比べれば少しでも「個室」が必要な現代社会においては、個室が必要な期間だけ個室にし、不要になったら大きなフリーエリアにしたり、書斎にしたり、という個室の可変性がこれに該当します。

 
現代の家の中で最も期間限定となる部屋が個室ですから。

 
ここでもまた、”先人の知恵を現代の需要に合わせて”という「温故知新の家づくり」が大切になってきます。

 
昔の人ってやっぱりすごいですね☆

出張版☆家づくり図書館28  家づくりのポイント③「自然素材」~自然界のタカラモノ~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

前回、人にとっての適合素材は自然素材だと言う所までお話ししました。今日は、その自然素材についてお伝えできればと思います。

 

 

【自然素材のメリット】

 

・素材感 = 触覚

 
手触り、足触り。表面が均質ではない自然素材は、触った時、踏んだ時、人間の触覚に刺激を与えます。
尖っていれば痛いし、握り易い丸みを帯びた木の手摺りを握った時などには「気持ち良い」という感覚を得れます。
人間の身体の先端である手の平と足の裏には、皆さんもご存知のように各臓器と神経がつながっているツボがあると同時に、脳と情報をやり取りする反射区でもあるそうです。

 
外を裸足で歩く事が少なくなってきた現代、さらに家の中に居ても床が合板に木目がプリントされた新建材の床材などでは人間から発する熱を受け止めてくれないために表面が冷たく、感触も良くないがためにスリッパを履いたり、あるいは柔らかすぎるクッション性のある塩ビ系の床材などが多くなってきたために歩く筋肉が発育せず、土踏まずが無い子供も増えていると聞きます。
ぜひ裸足で歩いて気持ち良い床を、手の平や足の裏を健康的に成長させてくれる素材を使って頂きたく思います。

 

 

・素材の表情 = 視覚

 
例えば木の年輪のように、一定ではない自然素材の表情は、1/fゆらぎと言われる自然界のリズムを持っています。
1/fゆらぎは、電車の揺れや風の流れ、川のせせらぎや虫の音など、触覚や聴覚から得られる事が多いですが、木の年輪、土壁や漆喰のランダムな表情など視覚的にもたくさん得られます。
そして人間は、脳へ送られる情報の90%以上を視覚から得られている事を考えると1/fゆらぎのリラックス効果を最も得られるのは視覚からかも知れませんね。

 

 

・自然界の香り = 嗅覚

 
新築のお家に入った瞬間の「新築の匂い」って皆さん経験があると思います。

 
それはタタミの匂いだったり、木の匂いだったり。中にはマンション暮らしが長い人でビニールクロスや接着剤の匂いを新築の匂いと思っている方もいました。
どれも新築の匂いである事には間違いありませんが、良い匂いと嫌な匂いがありますよね。

木やタタミの匂いを「あ~良い匂い~。新築の匂いだ~」って言う方はたくさんいますが、ビニールクロスや接着剤の化学建材の匂いを嗅いで「あ~良い匂い~」っていう人はまずいません。

 
当然、体に良いはずもありませんし、医学的な分類で言えばドラッグと同じです。被害が大きいか小さいかの違いだけです。
害のある食べ物を食べれば気分が悪くなったり腹を壊すなど症状がダイレクトに出て気付きやすいですが、呼吸から入る毒は少量のせいもあり、気づきにくいですよね。

 
それが何年にも渡り蓄積された結果発症したのがシックハウスと呼ばれる、揮発性物質による諸々の健康被害です。
アスベストなんかはその危険性から「時限爆弾」なんて呼ばれてしまっています。
食事であれば体が拒否して吐いたり、下痢などで体外に排出されやすいですが、呼吸によって肺から血液中に取り込まれてしまう揮発性物質は一瞬で全身の細胞を巡ってしまいます。

 
感覚では気付かないミクロな世界の話なので軽視しがちですが、真剣に考えれば考えるほど恐ろしい事です。
私たちの健康にとって最も根本的で最も重要な内容かも知れません。

 

 

 

【自然素材のデメリット】

 
自然素材のデメリットを挙げるとすれば、やはり「お手入れ」に尽きると思います。
デメリットに感じない人もたくさんいるのであれなんですが、めんどくさがりな私はデメリットと捉えがちです。

 
でも、、私たち人間だって、怪我をすれば病院へ行くし、髪の毛が伸びれば美容室に行くし、肩コリが辛ければ整体やマッサージに行きます。それと同じです。

 
自然物である自然素材も手入れが必要です。
汚れるし、傷つくし、ほっとけば腐るかも知れません。
庭木を手入れするように。あるいは愛車を洗車するように。食器を洗うように、手入れして下さい。
自分では大変であれば、専門業者だっています。

 

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皆さんには「一生の宝モノ」はありますか?
想い出のギター、嫁入り道具だった家具、プレミアのついたスニーカー、もう手に入らないレコード、、、、

 

色々あると思いますが、家こそ一生の宝物ではないでしょうか。
それこそ一生暮らす場所であり、一生をかけた買い物であり、多くの人にとって生涯で最大の所有物です。
一生の宝物にならなければウソですよね。

 

少なくとも私たち設計者は一生の宝物を贈る気持ちでデザインしています。

 

今まで設計した建物のデザインは全部覚えています。

 

細かい所は忘れてますが。。笑 でもぶっちゃけて言うと、忘れる部分なんて所詮そんなものだという事です。

 

今気になるその傷、その汚れ。5年経っても気にしている人なんてまず居ません。目につくのはせいぜい1ヶ月といったところでしょうか。

 

だってそんなもの、人生や健康や住み心地には関係ないですもの。

 

生涯に渡って私たちに大きく影響を及ぼすのは、全体のデザインや間取り、性能、そして「素材」です。

 

ぜひ、目に見えやすい表層ではなく、一生モノの中身、「質」の部分に目を向けて5年後10年後、未来で後悔しない素材の選択をして頂ければ嬉しいです。

 

私たちも一生の宝物になる家のお手伝いを全力でします!

出張版☆家づくり図書館27 家づくりのポイント②~素材~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

家づくりのポイントシリーズ、第二回目は「素材」についてです。

 

家の素材を選択する時のポイントは2つ。

 

「適材適所」「人間の体に与える影響」 です。

 

 

【適材適所】

 

以前、地方の工務店の商品開発アドバイザーとしてあちこち回っていた時に特に印象に残っていた事があります。
地方の昔ながらの工務店のほとんどに共通していた4大課題というのがあって、それは

 

「広報(集客)」

 

「デザイン(単に建物のデザインだけでなく、ビジネスの仕組みとかのデザインも含めて」

 

「スピード(工期と人件費)」

 

「コスト(費用対効果)」

 

でした。

 

地方の工務店の社長は元・大工の方がすごく多くて、昔ながらの大工さんなので”木を見れる”し、材料1本1本の曲がり具合や繊維の目なんかを吟味して使う方向や加工の仕方を変えたりと、現代の木造建築が失いかけている素晴らしい技術を持ってらっしゃるのですが、例えば壁の中に隠れてしまう柱なんかにも「美しさ」を求めたりしている事に私は疑問を持っていました。

 

壁の中に隠れる柱にとって1番大切な事は何か。

 

それは美しさとかうんぬんではなくて「強度」です。

 

それが見える柱であれば「強度+美しさ」

 

茶室などの飾り柱であれば「美しさ」

 

という事になります。

 

「適材適所」という事ですね。

 

その他にも、鉛直荷重に強い=柱に向いている材料 や たわみやせん断に強い=梁に向いている材料 、堅く加工には向かない材料 、 柔らかく加工に向いている材料 、木材以外にも、湿気に強い、火に強い、揺れに強い、風に強い、軽い、重い、、、など家一軒を構成する材料は多岐に渡ります。

 

できる限り一つ一つ丁寧に「適材」と「適所」を考えてあげれば、「無駄」がなくなり、結果「コスト」や「建物の強度」「建物の寿命」という皆さんの暮らしの安心や安全、試算、財産として跳ね返ってきます。

 

 

【人間の体に与える影響】

 

上記はどちらかというと家を造る上での素材の使い方、造り手である私たちが気を付けるべき内容でした。

 

それに対し、こちらは家の「仕上げ」の話。皆さんが気にしなければならない内容です。

 

スーパーなどに並んでいる食品に生産地や生産者などが表示され、成分やその作物の造り方に気を配る世の中になって久しいですが、食べ物以上に皆さんが毎日体の中に取り込んでいるものがあります。

 

それは何か知っていますか?

 

空気です。

 

体重50kgの人が一日に吸う空気の量って、ご飯100杯分にもなるってご存知ですか?

 

空気は呼吸とともに体の中に取り込まれ、肺から血液内に入り全身をこの瞬間も巡っています。

 

例えば、食べ物の食あたりのようにダイレクトに影響が表れるわけではありませんが、常に体内に取り込んでいる空気が、私たちの身体に影響を与えないはずがないですよね。

 

365日24時間。毎日毎日、少しづつ体内に蓄積していき、ついにそれが「被害」「病気」として目に見える形で表れてしまったのが、「シックハウス」と総称される、一連の住宅内での健康被害です。

 

アスベスト問題もそうですね。

 

今は使用禁止になったアスベストも、シックハウスを引き起こした様々な「新建材」と呼ばれる人工素材も、発見され、開発された当初は素晴らしい素材だとして称賛されました。

 

今では「時限爆弾」なんて呼ばれてしまっているアスベストが最初は何て呼ばれていたか知っていますか?

 

「奇跡の鉱物」です。

 

なんて身勝手な話しなんだろうと思いますよね。。

 

でも、これは起こるべくして起こったと私は思っています。

 

アスベストは、耐熱性、絶縁性、保温性に優れた奇跡の鉱物。

 

シックハウスの原因となった新建材たちは、大量生産性、低コスト、品質が一律で扱いやすい、加工が容易、腐らない、クレームが起こり辛い、、といった特徴がもてはやされました。

 

どちらも素晴らしい長所を持っています。

 

でも、、、

 

一つとして「住む人のため」の長所では無いんです。

 

何もかも全部、売り手、作り手にとっての長所です。

 

これはほんの一例で、氷山の一角にすぎません。。

 

今でも不動産業界、建築業界、住宅業界には、そんな身勝手な素材が、それらを「自分たちの都合で勝手に前向きに捉える」考え方が、蔓延しているのが現実です。

 

ほんと、嫌気がさすほどに。。

 

私はそれがどうしても許せないです。

 

少し感情的になってしまいましたが、毎日暮らしていく「家」を構成する「素材」と、その素材が造り出す「空気環境」が、私たちの身体にとってどれほど大事か。

 

それをお伝えしたかったのです。

 

また別の回で触れますが、素材の「素材感」は私たちの精神面へも影響を与えます。

 

素材は、人間の心身両方にとって大切なんです。

 

そしてその心身にとって「良い影響」を与えてくれる素材が「適合素材」です。

 

ぜひ、「適合素材」という言葉を覚えておいて頂けたらと思います。

 

何かで見た情報、誰かから聞いた情報、当たり前だと思っている情報、だけに捉われず、家づくりをお考えの際は、私たち専門家にざっくばらんに相談して下さい。

 

検討されているその素材のメリットデメリットを、正しく公平な立場でお伝えします。

 

最後に、私たち人間にとって適合する素材は、人間と同じ素材に他なりません。

 

「生きた人間」=「生きた素材」=「自然素材」です。

 

次回は、その「自然素材」が人間に与える影響・効用と、メリットデメリットについてお伝えしたいと思います。

 

今回はだいぶ長くなりました。最後までお読み頂けて嬉しいです。ありがとうございました。

出張版☆家づくり図書館26 家づくりのポイント①~正直なデザイン~

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

今までに全国各地で、家づくりのポイントというテーマでセミナーやトークイベントを行ってきました。

 

それらの記録に、ここ近年はジャンルを超えた先人や同志、後輩と様々な活動を行っている中で見て聞いて、気付いた事、教わった事、今感じる事、想う事、を織り交ぜてお話ししたいと思います。

 

これから数回に分けて家づくりのポイントについてお伝えしていきますので、家づくりをお考えの皆さんにとって少しでもご参考になれれば幸いです。

 

第一回目の今日は「デザイン」についてです。

 

私は家づくりにとっても、日々の暮らしにとっても、仕事、商売、遊び、、、何をするにしても、「デザイン」が1番重要だと思っています。

 

皆さんは、「デザイン」という言葉を聞いてどんなイメージを持ちますか?

 

おそらく多くの人は「見た目」と思うのではないでしょうか。

 

いつからか日本では、「デザイン=見た目」 や 「デザイン=絵を描く事」 というのが一般的になりました。

 

広告や様々なグラフィック、ファッションなどのイメージが強いからでしょうか。

 

「デザイン」の語源はラテン語の「designare(デジナーレ)」

 

その意味は、「ある問題を解決するために思考・概念の組み立てを行い、それを様々な媒体に応じて表現すること」で、それが世界共通のデザインの意味です。

 

なので、海外諸国では、デザイン=設計デザイン=問題解決手段 という意味で使われています。

 

もっと分かりやすく言えば、何かの概念や思想にカタチを与える事目に見えない何かを可視化する事 です。

 

数年前に「人は見た目が9割」という本が100万部を超えるミリオンセラーになりましたが、人間にとって「視覚」から入ってくる情報やコミュニケーションがそれだけの割合を占めているという事らしいです。

 

デザインと聞いて、グラフィックや見た目を連想する人が多いのもそういう理由なんだと思います。

 

それこそ9割の人が、デザイン=見た目と答えるかも知れません。

 

それだけ「視覚」に与える影響は大きいという事ですね。

 

私は、建築・空間というジャンルのデザインをしていますから、視覚だけでなく触覚、聴覚、嗅覚など他の感覚も意識してデザインしています。

 

味覚も、、と思うのですが料理ではないのでこれがなかなか難しい、、、

 

以前、食品衛生試験適合品の塗装でつくったテーブルをつくって、これは舐めれる家具です!ぜひ舐めて暮らして下さい!と言った事がありますが、舐めてくれませんでした。笑
だって別に美味しくないですもんね。。。

 

どうしても「五感の家」って言いたくて。。。強引でした。笑

 

話は「視覚」に戻って、私がその時に考えたのは、視覚がそれだけ私たちに及ぼす影響が強いのであれば、視覚を丁寧にデザインする事で、またはないがしろにしてしまう事で、人を何よりも気分良くできるし、何よりも不快にさせてしまうのではないかと思いました。

 
ヴィジュアルマーチャンダイジングという、店舗のデザインを研究している方の調査結果では、

 
①五感の中で最も言葉で伝えやすいのは、
視覚(75.7%)、味覚(9.9%)、触覚(6.7%)、聴覚(6.0%)、臭覚(1.9%)

 

②五感の中で最も長く記憶に残るものは、
視覚(71.9%)、聴覚(13.8%)、味覚(7.5%)、触覚(3.8%)、臭覚(3.1%)

 

③五感の中で最も思いでをよみがえらせるものは、
視覚(74.3%)、聴覚(11.8%)、触覚(4.8%)、味覚(4.6%)、臭覚(4.6%)

 

④五感の中で最も感動を覚えるのは、
視覚(72.6%)、聴覚(17.6%)、触覚(6.4%)、味覚(3.0%)、臭覚(0.5%)

 

と、どの調査結果でも視覚の影響力が圧倒的でした。

 
この事はそのまま「脳」へ与える影響、割合という事になります。

 
一言で言えば、視覚的に心地良ければ、7~8割方OKという事です。

 
よくよく考えれば、芸術や美術もまずは視覚に訴えることがほとんどですものね。そこに+αとして、他の4感にも働きかける工夫もありますが。

 

 

かくいう私も以前までは「デザイン」という言葉をとても軽んじていました。

 

失礼な話ですが、デザイナーという職業に興味も敬意もありませんでした。

 

それよりも、「建築家」や「クリエイター」など、どこか思想や哲学を感じる言い方に憧れていました。

 

はっ!!今でも「空間クリエイター」って肩書きにしている。。。笑

 

また脱線しました。すみません。。

 

 

建築・空間、そしてそれ以外の人生や暮らしに関わる全ては、「気分よく」「楽しく」なくては意味がないと思っています。

 

修業やトレーニングならまだしも、家や暮らしが、ましてや一生をかけて創り上げる環境が、「不快」だったり「ストレス」だったり、さらには「脳への悪影響」を与えるものであっては、建てない方がはるかにマシです。いや、建てないで下さい。

 

 

こんな事を今まで何度も自問自答してきましたが、結局いつも「結論」は一緒です。

 
今まで何度考えても、何度考えても、行きつく先は、、、、

 
「好き」

 
である事。

 
その家が。その暮らしが。その環境が。

 
これ以外にないと思います。これが全てだと思います。

 
理屈や理論や言葉は、見る方向や捉え方によって180度変わります。

時には立場によっても。。。

 

でも、「好き」というような感情や感覚はごまかしようがないと言いいますか、見方も捉え方も変えられない。常にシンプルです。

 

 

工学や科学や医学など、理論や理屈が重要なジャンルもあると思いますが、建築・空間においては、どうか「感性」を1番の優先事項にして欲しいです。

 

家は人生のベースですから。私たちが生きていき、子供たちが育っていく環境ですから。

 

「好き」で「心地良ければ」他は何も要らないと思います。

 

ぶっちゃけ、私個人的には「資産価値」とか「性能評価証明書」とかどうでもいいです。

 

一般の皆さんにとって、家づくりは商売ではないですもん。

 
どうか「好き」な家を、自分に正直な「デザイン」で実現して下さい。

 

私たちも、そのための協力は惜しみませんので☆

出張版☆家づくり図書館25 ~身体の芯まで届く木の家~

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

前回は、木の居住空間というテーマでだいぶ木を押しました。笑

 
林野庁の研究データを紹介し、木材が「身体の健康」に及ぼす効果について触れました。

 
今回は、木材や自然界の素材が「心の健康」に及ぼす効果についてお伝えします。

 
だって、、、やっぱり「家」は木が良いんですもん。笑

 
「森林浴」という言葉があります。

 

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自然の樹木に囲まれている時なんかに使いますが、ちょっとそれを文化人類学と科学的に見ていきます。

 
まず、人間は今のような文化に至るまで森の中で過ごしていました。そのため本能的にリラックスするという事が言われています。

 
理屈じゃない、DNAレベルの事ですね。私は個人的にはこういう「理屈じゃない部分」が住宅建築においては最も重要だと考えています。

 
だって、数字がどうとか理論がどうとか言ったって、住んでる人が「心地良い」とか「愉しい」って感じなければ何の意味もないと思うからです。

 
話を戻して、、このことを科学的観点で見てみると、「フィトンチッド」という物質が建築材料の教科書なんかに出て来ます。

 
この物質は、樹木が微生物や害虫から自分の身を守るために発散している物質で、これを人間が吸い込むと自律神経が安定し活力が増すということが、科学的に証明されています。

 
そういった、私たちの身体の芯まで届く効果というか、表層の部分ではない根源の部分に働きかける要素こそ、人が毎日生きる空間には最も必要だと考えます。

 
だって人生の全ての出来事の源の部分ですもんね。物事の捉え方だったり、考え方だったり、感性だったり。

 
それによって、他人に見える「書類的な結果」は同じでも、自分にとっての「結果とその後への影響」は180度違ったものになったりします。

 

捉え方、考え方の違いだけで。

 
だったらプラスに捉えられなきゃ大損ですよね。

 
ちょいちょい精神論に脱線してすみません。笑

 
もう一つ、学生の頃恩師に教えてもらって、建築設計に取り入れようとしてきた事があります。

 

「1/fゆらぎ」って聞いた事ありますか?

 

電車の揺れるリズム、自然の風のリズム、小川のせせらぎや小鳥のさえずりとか。

 
電車で眠くなるのはこのリズムのためだったり、最近では1/fゆらぎの扇風機なんかがありますが、要は人間が心地良いと感じる「自然のリズム」です。

 
それは一定ではない自然のリズムで、人間の生体リズムとリンクするのだそうです。

 

人間は自然界の生き物ですから当然というば当然ですね。

 

木材にも1/fゆらぎがあって、年輪や木目です。視覚的なリズムですね。

 

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そう考えると、林野庁の発表している、木の空間にしたら子供の成績が上がったとか、睡眠が深くなるとか老人の転ぶ割合が減るとか、全部説明がつきます。

 

目には当然見えないし、薬のような即効性があるわけでもないですが、根幹を整えてくれる、源をケアしてくれる。

 

なんていうか、西洋医学の局所療法的な薬の考え方ではなく、東洋医学の漢方的な自然治癒力を高める効果ですね。

 

そんな空間に毎日毎日毎日暮らしていたら。毎日が森林浴のような自然界のリズムの中で生活できたら。

 

1年、10年、50年、、、一生涯に得られる効果は計り知れません。

 

これからあらゆる事を吸収していく小さなお子さんならなおさらです。

 

やっぱり、家は木や自然界の素材でつくるべきです。設計士の私としてはやっぱりそれ以外の選択肢はオススメできません。

 

その上で、「気分が良い」「好き」でなければはっきり言ってお金の無駄です。

 

世の中には色んな考え方があります。色んな情報があります。色んな家の姿があります。

 

どれが正しいとかではなく、それぞれに正しさがあります。

 

皆さんはそれらを自分なりに見極め、自分なりに精査しなければなりません。

 

家という建築にとって、日本の気候にとって、その場所にとって、皆さん自身の人生にとって、子供たちにとって、それぞれの状況にとって、、、

 

何が大切だと考えるか。

 

ぜひ、じっくり、冷静に、真剣に、自分にとっての優先順位をつけていって下さい。

 
私たちも真剣勝負でサポートします!

 

出張版☆家づくり図書館24 ~ 木の居住空間 ~

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

リオ五輪が終わり、我が国の東京五輪のメインスタジアムも年内にもついに着工するそうです。色々ありましたが。。。

コンペに勝った人も負けた人もよく知っている大先輩ですが、負けた方の人は私の師の師なので、ちょっと悔しい気持ちです。。苦笑
さて、そんなメインスタジアムもそうですが、建築には様々な造り方があります。

 

日本で最もポピュラーな木造。

 

ヨーロッパの歴史である組積増(石やレンガ積み)

 

大規模建築に用いられる鉄筋コンクリート造(RC造)に、高層建築に用いられる鉄骨造(S造)、それらを組み合わせたSRC造に、

 

さらなる超高層建築に対応できるコンクリート充填鋼管構造(CFT造)など、細かく分類すればもっともっとあります。

 

建築とは、用途、規模、内容、求められる空間などによってそれらを選定し、あるいは一つの建築の中において適材適所で複数の構造を使い分ける事で計画、構築されていきます。

 

戸建住宅、カフェ、事務所ビル、保育園、小中学校、高校、大学、商業施設、体育館、美術館、温泉施設、ホテル、アパート、マンション、公園、駅、スカイツリー、、、、

 

今まで、あらゆる建築に一通り何らかのカタチで関わってきました。

 

これだけ多岐に渡る建築群ですから、プロジェクトリーダー、設計担当者、見習い弟子、空間デザイナー、デザン顧問、アートディレクター、インテリアデザイン、設備設計者、照明計画、など関わり方は様々でしたが、この目で、この体で、自分の感性で、建築というものの真実を体感したく、時にはアポ無しでいきなりおしかけて。。笑
でも散々、師匠たちに迷惑をかけたおかげで、雑誌を見たりや見学するだけでは得られない、建築への感性をなんとなく得る事ができました。

 

 

その中で、「住宅」という用途において、ここ「日本」で建てる場合に最も適した構造体は、「木造」もしくは「RC+木造」であると断言できます。
RC+木造というのは、1階部分を強固なRCで造り、車庫や倉庫、アトリエや水回りなど居住空間ではない用途に用い、2階以上の居住空間部分に軽く断熱性能や空間の質など
居住性を高められる木造でつくる手法です。
故・吉村順三さんの歴史に残る名作、軽井沢の山荘が良い例ですね。

 

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話は戻って、、、
人間の居住空間は「木質」が最適です。
湿気の気候風土であるこの国、日本においての最適な建築構造は「木造」である事を日本の建築文化が証明しています。
自然物である生きた人間の私たちには、同じ自然物である木をはじめとする「自然素材」が最適合素材です。
林野庁が面白い研究データを発表しています。
・木材は、人の生理面や心理面に良い影響を与えることが知られています。例えば、特別養護老人ホームでの調査によると、木材を多く使用している施設では、インフルエンザにかかったり、転んで骨折をしたりする入居者が少ないという結果が出ています。
マウスを使った実験では、木製の飼育箱で生活するマウスの方が、金属やコンクリートの飼育箱より生存率が高い結果がでています。体重の変化を見ても同様です
・木材は、無数の細胞からなり、そのひとつひとつに熱を伝えにくい空気を含んでいるため、コンクリートなどに比べ高い断熱性をもっています。木材、ビニールタイル、コンクリートを床材にして、足の甲の皮膚の温度変化を測定すると、コンクリートがもっとも足が冷え、木材がもっとも冷えなかったという結果が得られています。
・木材は、紫外線をよく吸収するため、木材から反射する光にはほとんど紫外線は含まれません。紫外線の反射が少なければ、目に与える刺激も小さくなることから、木材は目にやさしい材料であるといえます。
・杉の香りは脳活動と自律神経活動を鎮静化し、リラックスした状態をつくり、薄い塗料は無塗装と同様の血圧の変化を示しますが、厚い塗装は金属に近いストレス反応を示します。
・ある小学校で、木製の机と椅子を導入したところ、子ども達が、物事に熱心になった、あくびがあまりでなくなったといった「良い傾向の変化」が多かったという調査結果も出ています。

 

詳しい研究データなどは下記をご覧下さい。

 

林野庁HP -木材は人にやさしい-

 
例えばそれがお店なら、まずは繁盛する空間を造らねばなりません。

 

それが居住性を高める事で叶うお店もあれば、スタイリッシュで無機質なコンクリートの箱にする事で叶うお店もあります。

 

建築にはそれぞれ用途があり、目的があり、適した構成や素材があります。

 

 

そして、それを求める人提供する人の、夢、想い、願いがあります。

 

 

何か一つの考え方に固執するのは間違っているし、木造を肯定して他を否定するわけではありません。
(と言いつつ、コンクリートの建築を追及して世界一にまでなった高名な建築家の前でコンクリートの家を否定して、うるさい!と一喝された事もありましたが。。笑)
実際その人をめちゃくちゃ尊敬しているし、コンクリートや石の重厚な空間も、鉄骨の軽やかで開放的な空間も、大好きです☆
ただ、生きた人間である私たちの毎日の「生活の場」は、どうか木で、自然界の素材で造って下さい。

 

これから成長し、体が出来ていくお子さんがいるならなおさらです。

 

数値には表れない、目には見えない所でも、きっと私たちは「空間の影響」を受けています。

 

友人関係や動物との関係がそうであるように、きっとそんな目には見えないレベルの自然界からの恩恵が、私たちの「心」や「感性」に長い年月をかけて蓄積していくのだと。

 

そして、その事が住宅という建築においては何よりも大切にしなければならないのだと信じて、私は今日もまたペンを握りたいと思います。

 

出張版☆家づくり図書館23~小さくて、資産になる家~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

最近よく、自分の自邸計画の事を考えてスケッチしたりしてます。

 

(全く予定は無いのですが。。笑)

 

 

プランやデザインはたくさん悩みそうですが、コンセプトは10年以上前から決まっています。

 

「とことん小さく計画して、とことん品質を高める」

 

 

これが究極の住宅だと考えています。

 

 

もちろん、大きくて品質も良くて、、なら理想かも知れませんが、そんなお金はありません。笑

 

 

設計士なのに家にそこまでお金をかける気もありません。笑

 

 

でも面白い事に、「名作」と言われる家は小さな家ばかりです。

 

 

その名作を設計した大先輩は、大きくて予算もふんだんにあると特に何も考えなくても要望が満たせてしまうけど、小さいと知恵を絞るしかないから結果良質な家になる。と言っていました。

 

 

例えば、この家はヒアシンスハウスという5坪の家です。

1~2人用の小さな小屋住宅。

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こちらは9坪ハウス。ファミリー向けの最小限住宅と言われる家です。

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上がオリジナルですが、この名作をリスペクトする多くの建て主や建築家たちによって様々なデザインでバリエーションが出来ています。

 

 

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面積は必要なだけあれば良い。

 

それよりも「質」を高めたい。

 

小さければ小さいほど良い家になる。と私は考えています。

 

将来もし売る事になっても、ただ大きいだけの家より小さくても高性能、高水準の品質の家の方が資産価値も上がります。

 

それこそ、とことん質とデザインにこだわれば、国が文化財として買い取ってくれるかも。。。

 

いやいや、それなら博物館にしたり量産したりしてビジネスにすれば遊んで暮らせるんじゃないか。。なんて、子供じみた妄想をしてみたり。笑

 

でも、「価値」とはそういう事です。

 

 

やっぱり30坪はないと、、といったような世間体や、なんとなくどこかで見た事や聞いた事がある、、といった先入観は、とっても邪魔だと思っています。

 

自分が良いと思えるもの、みんなが良いと感じるもの、社会が良いと認めるもの。

 

 

まずは自分自身が価値を感じる家。

 

 

そして、他者や社会も価値を感じてくれる、資産になる家づくりをしたいですね!

 

 

 

 

 

 

 

出張版☆家づくり図書館22~自然環境と心地よさのデザイン~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

我が家の茶碗が新しくなりました☆

 

黒い茶碗。

 

黒い茶碗に真っ白なご飯って、一層おいしく見えませんか??笑

 

 

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デザインってこういう事なんだと思います。

 

ちょっとした気付きや、工夫やアイデア。そして心遣い、想いやり、愛情や優しさ。

 

家族や恋人、友人に接するようにデザインすること。

 

だだそれだけだと思います。

 

————————————————————————————————————————————

 

皆さんは家に何を求めますか?

 

性能?強度?技術?コスト?それとも間取り?

 

多分、比べる事ができる要素を求めるとうまくいきません。

 

うまく行かないというよりは、後悔するといった方が正しいでしょうか。

 

完成時、あるいは設計時に100%満足していたとしても、何かと何かを比較し続ける限り、いずれ後悔する時が必ず来ます。

 

性能は今日より1年後の方が、より高いものが開発されます。

 

強度も技術も、今日より明日、明日より1年後の方が進化します。

 

間取りもそう。

 

現時点で100点満点の間取りが出来たとしても、人は必ず歳を取り、家族構成が変わり、ライフスタイルが変わり、趣味嗜好も体の動きも価値観も考え方も変わります。誰しも必ず。

 

何かにこだわるのはとても良い事です。こだわらなければそもそも100点の満足は得られません。

 

でも、こだわりすぎて視野が狭くなると、後から冷静に全体を見た時にまず間違いなく後悔します。

 

そうならないように冷静に客観的にアドバイスするのが私たち設計士の役目ですが。。。(汗)

 

 

でも、、、

 

 

家づくりにおいて、将来に渡っても変わらないものが2つだけあります。

 

 

1つは、その場所の自然環境。

 

 

自然環境というスケールは、人が生きている間になんて到底変わりません。

 

 

何億年もかけて変わってきたのですから。

 

 

 

2つ目は、心地よさ。

 

 

人間の根源的な「感覚」は変わりません。

 

 

鈍るかもしれませんが。。笑

 

 

これは人間というより、生物、動物としての生理的な事だからです。

 

 

子供が気持ち良いという場所、猫が心地よいと感じる場所、私が心地よいと感じる空間、あなたが心地よいと感じる空間、それらは大差ありません。

 

 

夏に、涼しくて風の抜ける縁側が気持ち悪いと感じる人はいませんよね?

 

 

冬に、ぽかぽかと暖かい陽だまりにいると吐き気がするなんて人がいたら、相当病んでますよね?笑

 

 

なので、私が確信をもって言い切れる事は、

 

 

家づくりにおいて1番重要な事は、「自然環境と心地よさをデザインすること」です。

 

 

性能も強度も技術も知恵も工夫もアイデアも。

 

 

全て、そのための要素です。

 

 

全ては、気分の良い毎日という目的のための手段です。

 

 

心地よい家、「好き」な家を創りましょうね!!

 

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