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10月, 2016 | 健幸工房シムラ|自然素材で建てる自由設計の家。青梅市、あきる野市、八王子市、立川市の周辺エリア対応 注文住宅・リノベーション - Part 2

出張版☆家づくり図書館30 家づくりのポイント⑤~間取り~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

「デザイン」から始まり、「素材」、「性能」とバトンを繋いできた、家づくりのポイントシリーズ。

 

最後は「間取り」で締めくくりたいと思います。

 

おそらく、家づくりを考える皆さんにとって最も楽しい部分ではないでしょうか。

 

それは、「間取り」が最も皆さんの暮らしに直結し、身近で、家づくりの中で最も誰にでもできる事というか、参加しやすい部分だからだと思います。

 

しかしそれは、専門性が低いという事ではないです。

 

逆に、最も「専門性の差」が出る部分です。

 

誰にでもできるからこそ、誰にもできない分野です。

 

歴史に名を残す建築家たちは皆、「間取り」か「デザイン」で伝説となっています。

 

それはなぜか。

 

それは、「実態が無い」からです。

 

「素材」と「性能」は、理論であり、技術であり、”実在する物質”によるものです。

 

同じ物を使えば誰でも同じ効果を発揮し、同じ性能値を得れます。

 

建築の「工学的部分」ですね。

 

それに対し、「間取り」と「デザイン」は抽象で、感性で、”実在しない創造”によるものです。

 

建築の「芸術的部分」です。

 

ゆえに、誰にでもできて誰にでも出来ない。

 

私の絵とピカソの絵くらいの差がついてしまう世界です。笑

 

(余談ですが、、、大学の建築学科って、工学部と芸術学部にあるって知ってました?
建築学って工学的側面と芸術的側面が両方無いと本当の「完成」には至らないため、総合芸術って呼ばれているのですが、それはこういう理由からです。
家に置き換えれば、強度や安心安全面、快適性が工学的側面。住みやすさ、使い易さ、居心地など、住み続けてもらえる事、必要とされ続けられる事、が芸術的側面。)

 

話を戻して、では何をもって間取りの「良し悪し」を決めましょう。。

 

性能なら数値で、素材なら理屈や快適さという感覚で判断できます。

 

では、間取りやデザインは、、、、

 

単純に好きか嫌いかです。

 

もっと丁寧に言えば、腑に落ちるか落ちないか。

 

もっと具体的に言えば、「この先の”楽しい暮らし”が”たくさん”想像できるか」どうか。

 

極端に言えば、それがなければ、いくら高性能でも、いくら地震に強くても、そもそも「建てる意味が無くなる」からです。

 

(建築の工学的部分だけで判断するならば私は、超高気密で超高断熱で、どんな災害にもびくともしない最先端技術を駆使した最新マンションをお勧めします。
内装は自然素材で。笑)

 

その感覚は、旅行先を決める時や旅館を決める時、食事をする時、服を買う時、の感覚に近いかも知れません。

 

でも、一生暮らす「家」ですから、旅行なら新婚旅行。旅館なら死ぬまでに一度は行きたい旅館。食事なら記念日のデート。服なら勝負する合コン。。。

 

少なくともそのくらいの気合いで好き嫌いを決めて下さい。笑

 

(でも、高級フルコースやハイブランドのスーツを選べって言ってるわけじゃないですよ。逆に肩がこって住むのが辛くなりますからね。。
最高に上手いしょうが焼き定食や、ものすごく着やすい普段着を見つけて欲しいんです。)

 

そして、固定観念や先入観は捨てて下さい。

 

建てて転売するビジネスなら別ですが、本気で自分の家をつくるなら、自分をさらけ出して、心の底から素直になって下さい。

 

そうしないときっと後悔する時がきます。

 

それと、、専門家(もどき)が言う、「普通は」とか「一般的には」という言葉には騙されないで下さい。

 

その言葉の裏側にあるホンネは、

 

普通は=自分たちがめんどくさくないのは

 

一般的には=楽に儲けるには

 

です。

 

名前は出せませんが、以前働いていた大手ハウスメーカーでは、素人の皆さんを納得させる(あきらめさせる)ためのこれらの言葉を、「魔法のことば」なんて呼んで笑ってました。。

 

そんな会社ソッコーで辞めましたけど。笑

 

また脱線しました。大幅に。笑

 

そういう訳で、私たち専門家、特に設計やデザインの部分を担う職種の人たちは、「間取り」と「デザイン」にプライドを持っています。

 

そこが自分たちの土俵であり社会的評価を頂く場所。勝負しているフィールドですから、日本中、いや世界中の誰にだって負けたくはない。

 

見方を変えれば、私たち作り手と皆さんたち住まい手の、想いと想いの真剣勝負の場でもあります。

 

ぜひ、勝負しましょう!スポーツマンシップにのっとって。笑

 

とことん納得するまで。

 

家を建てるくらいの時でしか、なかなかそんな経験できないと思います。

 

何回でもプラン描きますよ。

 

何十回でもデザインします。
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全五回に渡って、私の考える家づくりのポイントをお伝えしてきました。

 

いかがでしたでしょうか。少しは参考になったでしょうか。

 

家づくりを申し込んで頂いた方にいつも聞いている質問があります。

 

「好きな場所はありますか?」

 

「心に残る風景はありますか?」

 

「楽しい時ってどんな時ですか?」

 

私は、そこにどれだけ近づけるかが「良い間取り」そして「良いデザイン」だと思っています。

 

家づくりはとってもシンプルなんです。

 

シンプルに本気なんです。

 

それが、良い家づくり、後悔しない家づくりのポイントです。

 

皆さんの元にも、ただただ「好きな家」が届きますように。

出張版☆家づくり図書館29 家づくりのポイント④~性能~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 
家づくりのポイントシリーズ第四弾は、「家の性能」です。

 
では、家の性能とは具体的にどういう事でしょう。

 
それは大きく分けると、「快適性」と「寿命」です。

 
それぞれ見ていきましょう。

 

 

「家の快適性」

 
家の快適性とは、室内の温熱環境の状態です。

 
それには「断熱性」と「気密性」がセットで必要です。

 
なぜセットで必要かと言いますと、いくら断熱性能が高い物質があっても気密性が悪ければ意味を成さないからです。

 
家を継ぎ目のないひとつながりの材料で造る事は不可能ですから、「断熱性能が高い素材ですき間なく施工する事」が家の温熱環境の生命線です。

 
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日本古来の民家は寒いと良く言われます。

 
徒然草の第55段に「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。」とあるように、日本の民家は夏に対応するように、気密性なんて全くないすき間風ぴゅーぴゅーの造りで出来ていました。

 
それは日本が「高温多湿」の気候風土だからです。その場所の気候風土から文化は生まれますものね。

 
昔の人は木造の家は湿気に弱い事を知っていたし、現代のようにシャワーはもちろんの事、お風呂さえ満足になかったですから、湿気はもちろん夏の汗の処理、や食料の保管、排せつ物の衛生など、夏を過ごすのがものすごく大変だったそうです。

 
そういった生活や衛生面の事情もあって、冬は火を焚いたり服を着込めばなんとかなるが、夏の高温と多湿は耐え難い。と昔の人は思っていたんですね。

 
結果、夏の通気性は抜群で木造建築の湿気対策にもなっていたんですね。

 
良い例が、神社やお寺です。

 
あれぞまさに純然たる木造建築。天然の通気性によって建物を構成する木材は理想的な乾燥状態にあり、何百年何千年と建ち続けています。

 
話は現代に戻って。

 
現代人の私たちはさすがに神社やお寺には住めないですよね。それこそ夏はなんとかなっても、現代っ子の私たちでは冬はとても越せません。

 
皆さんはどうですか?笑

 
「断熱性能が高い素材ですき間なく施工する事」

 
昔はできませんでしたが、今ならできます。

 
具体的には、断熱性能が良く、すき間なく施工できて、さらに建物の動き(木材の収縮や日々の微振動や地震)に追随してくれる柔軟な素材。
現代にはそういう素材があります。

 
(現在多くの家づくりで主流になっている、綿状の断熱材や板状の断熱材ではダメです。新築時は良くても、10年20年もすれば必ずすき間ができます。重力や気圧がある地球上で永久に形が変わらない物なんて存在しませんから。)

 
日本の気候風土に合った姿を、現代の技術で造る。

 
私たちが「温故知新の家づくり」という事をコンセプトにしている理由がこれです。

 

 

 

「家の寿命」

 
家の寿命も大きく2つ。

 
「耐久性」 と 「耐用性」 です。

 
「耐久性」とはそのまま、建物の強度の事です。

 
昨今の大地震で皆さんに馴染みの深い言葉だと、「耐震」などがこれにあたります。

 
耐震とは、建物の地震対策の一つで、他には「制震」と「免震」があります。

 
ちょっと脱線しますが、、

 
「耐震」って、地震大国日本の本来の地震対策ではないと知っていました?

 
耐震とはその字のごとく、地震に対し耐える。抵抗する考え方です。
力に力で対抗する。

 
なんか、日本人らしくないと思いませんか?笑 少なくとも、日本の武道には無い考え方ですよね。

 
これは、、アメリカの考え方です☆

 
あ、やっぱりって思いました?笑

 
あんまり言うとマズいんでこの辺までにして。

 
日本本来の地震対策は、力を受け流す柳のような考え方です。「制震」や「免震」の手法ですね。

 
世界一の地震大国であるはずなのに、築1400年の法隆寺五重塔を初めとする日本の木造建築が世界でも稀にみる長寿命なのは、前述した湿気のコントロールもありますが、この「制震」や「免震」の技術のためでもあります。

 
この辺の詳しい話は、また後日にして。

 
もう一つの「耐用性」についてお話しします。

 
耐用性とは、あまり聞かない言葉だと思いますが、要約すると「建物が使い続けてもらえるか」という事です。

 
現代日本の住宅の平均寿命は約27年です。

 
これは世界でも稀にみる短かさです。。。寺社仏閣や古民家はあれほど長寿命なのに。

 
世界一長寿命の木造建築を誇っていた日本は、いつの間にか「使い捨て世界一」の国になってしまっていたんです。。

 
これじゃご先祖さまたちに怒られますね。。

 
ちょっと脱線しましたが、日本の住宅の平均寿命が27年である理由は、ひどい造り方で建物そのものの耐久性が本当に27年程度という場合もありますが、

 
(安すぎる家には注意して下さい)

 
ほとんどは「住みにくくなる」という理由からです。

 
住む人の年齢の変化、ライフスタイルの変化、趣味嗜好の変化、家族構成の変化 人の一生の色んな変化に家がついていけなくなる事が最大の原因なんです。

 
「4LDK!〇坪!〇〇〇〇万円!お買い得!!」みたいなチラシ、良くありますよね?何千万円ポッキリ!みたいなやつ。

 
いやいや、キャバクラじゃないんだから。笑

 
一生の内に、その家が4部屋同時使用する期間が果たして何年間あるか。

 

いや、そもそも同時に全部屋埋まる時が来るのか。と言う事です。

 
丁寧に家を考える工務店などは、そういう建売(りっぱなし)住宅的な、”雑な”家の造り方に異議を唱え、「可変性のある家づくりを」なんて偉そうに言ってますが、(私たちも。笑)

 
これもまた、先人たちはとっくにやっていました。

 
今のように、30坪近い家でないと狭いみたいな豊かな時代ではなかったためもありますが、ちゃぶ台やふすまが良い例です。

 
一つの部屋に、ちゃぶ台を置くと食堂やリビングになり、ちゃぶ台をたたむと子供の遊び室になり、布団を敷くと寝室になる。

 
二間続きの和室をふすまで区切って、片方を客間にしてもう片方を居間にして、お盆や正月に親戚が集まるとふすまを開け放ち、大広間にする。

 
昔に比べれば少しでも「個室」が必要な現代社会においては、個室が必要な期間だけ個室にし、不要になったら大きなフリーエリアにしたり、書斎にしたり、という個室の可変性がこれに該当します。

 
現代の家の中で最も期間限定となる部屋が個室ですから。

 
ここでもまた、”先人の知恵を現代の需要に合わせて”という「温故知新の家づくり」が大切になってきます。

 
昔の人ってやっぱりすごいですね☆

出張版☆家づくり図書館28  家づくりのポイント③「自然素材」~自然界のタカラモノ~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

前回、人にとっての適合素材は自然素材だと言う所までお話ししました。今日は、その自然素材についてお伝えできればと思います。

 

 

【自然素材のメリット】

 

・素材感 = 触覚

 
手触り、足触り。表面が均質ではない自然素材は、触った時、踏んだ時、人間の触覚に刺激を与えます。
尖っていれば痛いし、握り易い丸みを帯びた木の手摺りを握った時などには「気持ち良い」という感覚を得れます。
人間の身体の先端である手の平と足の裏には、皆さんもご存知のように各臓器と神経がつながっているツボがあると同時に、脳と情報をやり取りする反射区でもあるそうです。

 
外を裸足で歩く事が少なくなってきた現代、さらに家の中に居ても床が合板に木目がプリントされた新建材の床材などでは人間から発する熱を受け止めてくれないために表面が冷たく、感触も良くないがためにスリッパを履いたり、あるいは柔らかすぎるクッション性のある塩ビ系の床材などが多くなってきたために歩く筋肉が発育せず、土踏まずが無い子供も増えていると聞きます。
ぜひ裸足で歩いて気持ち良い床を、手の平や足の裏を健康的に成長させてくれる素材を使って頂きたく思います。

 

 

・素材の表情 = 視覚

 
例えば木の年輪のように、一定ではない自然素材の表情は、1/fゆらぎと言われる自然界のリズムを持っています。
1/fゆらぎは、電車の揺れや風の流れ、川のせせらぎや虫の音など、触覚や聴覚から得られる事が多いですが、木の年輪、土壁や漆喰のランダムな表情など視覚的にもたくさん得られます。
そして人間は、脳へ送られる情報の90%以上を視覚から得られている事を考えると1/fゆらぎのリラックス効果を最も得られるのは視覚からかも知れませんね。

 

 

・自然界の香り = 嗅覚

 
新築のお家に入った瞬間の「新築の匂い」って皆さん経験があると思います。

 
それはタタミの匂いだったり、木の匂いだったり。中にはマンション暮らしが長い人でビニールクロスや接着剤の匂いを新築の匂いと思っている方もいました。
どれも新築の匂いである事には間違いありませんが、良い匂いと嫌な匂いがありますよね。

木やタタミの匂いを「あ~良い匂い~。新築の匂いだ~」って言う方はたくさんいますが、ビニールクロスや接着剤の化学建材の匂いを嗅いで「あ~良い匂い~」っていう人はまずいません。

 
当然、体に良いはずもありませんし、医学的な分類で言えばドラッグと同じです。被害が大きいか小さいかの違いだけです。
害のある食べ物を食べれば気分が悪くなったり腹を壊すなど症状がダイレクトに出て気付きやすいですが、呼吸から入る毒は少量のせいもあり、気づきにくいですよね。

 
それが何年にも渡り蓄積された結果発症したのがシックハウスと呼ばれる、揮発性物質による諸々の健康被害です。
アスベストなんかはその危険性から「時限爆弾」なんて呼ばれてしまっています。
食事であれば体が拒否して吐いたり、下痢などで体外に排出されやすいですが、呼吸によって肺から血液中に取り込まれてしまう揮発性物質は一瞬で全身の細胞を巡ってしまいます。

 
感覚では気付かないミクロな世界の話なので軽視しがちですが、真剣に考えれば考えるほど恐ろしい事です。
私たちの健康にとって最も根本的で最も重要な内容かも知れません。

 

 

 

【自然素材のデメリット】

 
自然素材のデメリットを挙げるとすれば、やはり「お手入れ」に尽きると思います。
デメリットに感じない人もたくさんいるのであれなんですが、めんどくさがりな私はデメリットと捉えがちです。

 
でも、、私たち人間だって、怪我をすれば病院へ行くし、髪の毛が伸びれば美容室に行くし、肩コリが辛ければ整体やマッサージに行きます。それと同じです。

 
自然物である自然素材も手入れが必要です。
汚れるし、傷つくし、ほっとけば腐るかも知れません。
庭木を手入れするように。あるいは愛車を洗車するように。食器を洗うように、手入れして下さい。
自分では大変であれば、専門業者だっています。

 

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皆さんには「一生の宝モノ」はありますか?
想い出のギター、嫁入り道具だった家具、プレミアのついたスニーカー、もう手に入らないレコード、、、、

 

色々あると思いますが、家こそ一生の宝物ではないでしょうか。
それこそ一生暮らす場所であり、一生をかけた買い物であり、多くの人にとって生涯で最大の所有物です。
一生の宝物にならなければウソですよね。

 

少なくとも私たち設計者は一生の宝物を贈る気持ちでデザインしています。

 

今まで設計した建物のデザインは全部覚えています。

 

細かい所は忘れてますが。。笑 でもぶっちゃけて言うと、忘れる部分なんて所詮そんなものだという事です。

 

今気になるその傷、その汚れ。5年経っても気にしている人なんてまず居ません。目につくのはせいぜい1ヶ月といったところでしょうか。

 

だってそんなもの、人生や健康や住み心地には関係ないですもの。

 

生涯に渡って私たちに大きく影響を及ぼすのは、全体のデザインや間取り、性能、そして「素材」です。

 

ぜひ、目に見えやすい表層ではなく、一生モノの中身、「質」の部分に目を向けて5年後10年後、未来で後悔しない素材の選択をして頂ければ嬉しいです。

 

私たちも一生の宝物になる家のお手伝いを全力でします!

出張版☆家づくり図書館27 家づくりのポイント②~素材~

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

 

家づくりのポイントシリーズ、第二回目は「素材」についてです。

 

家の素材を選択する時のポイントは2つ。

 

「適材適所」「人間の体に与える影響」 です。

 

 

【適材適所】

 

以前、地方の工務店の商品開発アドバイザーとしてあちこち回っていた時に特に印象に残っていた事があります。
地方の昔ながらの工務店のほとんどに共通していた4大課題というのがあって、それは

 

「広報(集客)」

 

「デザイン(単に建物のデザインだけでなく、ビジネスの仕組みとかのデザインも含めて」

 

「スピード(工期と人件費)」

 

「コスト(費用対効果)」

 

でした。

 

地方の工務店の社長は元・大工の方がすごく多くて、昔ながらの大工さんなので”木を見れる”し、材料1本1本の曲がり具合や繊維の目なんかを吟味して使う方向や加工の仕方を変えたりと、現代の木造建築が失いかけている素晴らしい技術を持ってらっしゃるのですが、例えば壁の中に隠れてしまう柱なんかにも「美しさ」を求めたりしている事に私は疑問を持っていました。

 

壁の中に隠れる柱にとって1番大切な事は何か。

 

それは美しさとかうんぬんではなくて「強度」です。

 

それが見える柱であれば「強度+美しさ」

 

茶室などの飾り柱であれば「美しさ」

 

という事になります。

 

「適材適所」という事ですね。

 

その他にも、鉛直荷重に強い=柱に向いている材料 や たわみやせん断に強い=梁に向いている材料 、堅く加工には向かない材料 、 柔らかく加工に向いている材料 、木材以外にも、湿気に強い、火に強い、揺れに強い、風に強い、軽い、重い、、、など家一軒を構成する材料は多岐に渡ります。

 

できる限り一つ一つ丁寧に「適材」と「適所」を考えてあげれば、「無駄」がなくなり、結果「コスト」や「建物の強度」「建物の寿命」という皆さんの暮らしの安心や安全、試算、財産として跳ね返ってきます。

 

 

【人間の体に与える影響】

 

上記はどちらかというと家を造る上での素材の使い方、造り手である私たちが気を付けるべき内容でした。

 

それに対し、こちらは家の「仕上げ」の話。皆さんが気にしなければならない内容です。

 

スーパーなどに並んでいる食品に生産地や生産者などが表示され、成分やその作物の造り方に気を配る世の中になって久しいですが、食べ物以上に皆さんが毎日体の中に取り込んでいるものがあります。

 

それは何か知っていますか?

 

空気です。

 

体重50kgの人が一日に吸う空気の量って、ご飯100杯分にもなるってご存知ですか?

 

空気は呼吸とともに体の中に取り込まれ、肺から血液内に入り全身をこの瞬間も巡っています。

 

例えば、食べ物の食あたりのようにダイレクトに影響が表れるわけではありませんが、常に体内に取り込んでいる空気が、私たちの身体に影響を与えないはずがないですよね。

 

365日24時間。毎日毎日、少しづつ体内に蓄積していき、ついにそれが「被害」「病気」として目に見える形で表れてしまったのが、「シックハウス」と総称される、一連の住宅内での健康被害です。

 

アスベスト問題もそうですね。

 

今は使用禁止になったアスベストも、シックハウスを引き起こした様々な「新建材」と呼ばれる人工素材も、発見され、開発された当初は素晴らしい素材だとして称賛されました。

 

今では「時限爆弾」なんて呼ばれてしまっているアスベストが最初は何て呼ばれていたか知っていますか?

 

「奇跡の鉱物」です。

 

なんて身勝手な話しなんだろうと思いますよね。。

 

でも、これは起こるべくして起こったと私は思っています。

 

アスベストは、耐熱性、絶縁性、保温性に優れた奇跡の鉱物。

 

シックハウスの原因となった新建材たちは、大量生産性、低コスト、品質が一律で扱いやすい、加工が容易、腐らない、クレームが起こり辛い、、といった特徴がもてはやされました。

 

どちらも素晴らしい長所を持っています。

 

でも、、、

 

一つとして「住む人のため」の長所では無いんです。

 

何もかも全部、売り手、作り手にとっての長所です。

 

これはほんの一例で、氷山の一角にすぎません。。

 

今でも不動産業界、建築業界、住宅業界には、そんな身勝手な素材が、それらを「自分たちの都合で勝手に前向きに捉える」考え方が、蔓延しているのが現実です。

 

ほんと、嫌気がさすほどに。。

 

私はそれがどうしても許せないです。

 

少し感情的になってしまいましたが、毎日暮らしていく「家」を構成する「素材」と、その素材が造り出す「空気環境」が、私たちの身体にとってどれほど大事か。

 

それをお伝えしたかったのです。

 

また別の回で触れますが、素材の「素材感」は私たちの精神面へも影響を与えます。

 

素材は、人間の心身両方にとって大切なんです。

 

そしてその心身にとって「良い影響」を与えてくれる素材が「適合素材」です。

 

ぜひ、「適合素材」という言葉を覚えておいて頂けたらと思います。

 

何かで見た情報、誰かから聞いた情報、当たり前だと思っている情報、だけに捉われず、家づくりをお考えの際は、私たち専門家にざっくばらんに相談して下さい。

 

検討されているその素材のメリットデメリットを、正しく公平な立場でお伝えします。

 

最後に、私たち人間にとって適合する素材は、人間と同じ素材に他なりません。

 

「生きた人間」=「生きた素材」=「自然素材」です。

 

次回は、その「自然素材」が人間に与える影響・効用と、メリットデメリットについてお伝えしたいと思います。

 

今回はだいぶ長くなりました。最後までお読み頂けて嬉しいです。ありがとうございました。

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