出張版☆家づくり図書館30 家づくりのポイント⑤~間取り~
こんにちは!空間クリエイターの白岩です。
「デザイン」から始まり、「素材」、「性能」とバトンを繋いできた、家づくりのポイントシリーズ。
最後は「間取り」で締めくくりたいと思います。
おそらく、家づくりを考える皆さんにとって最も楽しい部分ではないでしょうか。
それは、「間取り」が最も皆さんの暮らしに直結し、身近で、家づくりの中で最も誰にでもできる事というか、参加しやすい部分だからだと思います。
しかしそれは、専門性が低いという事ではないです。
逆に、最も「専門性の差」が出る部分です。
誰にでもできるからこそ、誰にもできない分野です。
歴史に名を残す建築家たちは皆、「間取り」か「デザイン」で伝説となっています。
それはなぜか。
それは、「実態が無い」からです。
「素材」と「性能」は、理論であり、技術であり、”実在する物質”によるものです。
同じ物を使えば誰でも同じ効果を発揮し、同じ性能値を得れます。
建築の「工学的部分」ですね。
それに対し、「間取り」と「デザイン」は抽象で、感性で、”実在しない創造”によるものです。
建築の「芸術的部分」です。
ゆえに、誰にでもできて誰にでも出来ない。
私の絵とピカソの絵くらいの差がついてしまう世界です。笑
(余談ですが、、、大学の建築学科って、工学部と芸術学部にあるって知ってました?
建築学って工学的側面と芸術的側面が両方無いと本当の「完成」には至らないため、総合芸術って呼ばれているのですが、それはこういう理由からです。
家に置き換えれば、強度や安心安全面、快適性が工学的側面。住みやすさ、使い易さ、居心地など、住み続けてもらえる事、必要とされ続けられる事、が芸術的側面。)
話を戻して、では何をもって間取りの「良し悪し」を決めましょう。。
性能なら数値で、素材なら理屈や快適さという感覚で判断できます。
では、間取りやデザインは、、、、
単純に好きか嫌いかです。笑
もっと丁寧に言えば、腑に落ちるか落ちないか。
もっと具体的に言えば、「この先の”楽しい暮らし”が”たくさん”想像できるか」どうか。
極端に言えば、それがなければ、いくら高性能でも、いくら地震に強くても、そもそも「建てる意味が無くなる」からです。
(建築の工学的部分だけで判断するならば私は、超高気密で超高断熱で、どんな災害にもびくともしない最先端技術を駆使した最新マンションをお勧めします。
内装は自然素材で。笑)
その感覚は、旅行先を決める時や旅館を決める時、食事をする時、服を買う時、の感覚に近いかも知れません。
でも、一生暮らす「家」ですから、旅行なら新婚旅行。旅館なら死ぬまでに一度は行きたい旅館。食事なら記念日のデート。服なら勝負する合コン。。。
少なくともそのくらいの気合いで好き嫌いを決めて下さい。笑
(でも、高級フルコースやハイブランドのスーツを選べって言ってるわけじゃないですよ。逆に肩がこって住むのが辛くなりますからね。。
最高に上手いしょうが焼き定食や、ものすごく着やすい普段着を見つけて欲しいんです。)
そして、固定観念や先入観は捨てて下さい。
建てて転売するビジネスなら別ですが、本気で自分の家をつくるなら、自分をさらけ出して、心の底から素直になって下さい。
そうしないときっと後悔する時がきます。
それと、、専門家(もどき)が言う、「普通は」とか「一般的には」という言葉には騙されないで下さい。
その言葉の裏側にあるホンネは、
普通は=自分たちがめんどくさくないのは
一般的には=楽に儲けるには
です。
名前は出せませんが、以前働いていた大手ハウスメーカーでは、素人の皆さんを納得させる(あきらめさせる)ためのこれらの言葉を、「魔法のことば」なんて呼んで笑ってました。。
そんな会社ソッコーで辞めましたけど。笑
また脱線しました。大幅に。笑
そういう訳で、私たち専門家、特に設計やデザインの部分を担う職種の人たちは、「間取り」と「デザイン」にプライドを持っています。
そこが自分たちの土俵であり社会的評価を頂く場所。勝負しているフィールドですから、日本中、いや世界中の誰にだって負けたくはない。
見方を変えれば、私たち作り手と皆さんたち住まい手の、想いと想いの真剣勝負の場でもあります。
ぜひ、勝負しましょう!スポーツマンシップにのっとって。笑
とことん納得するまで。
家を建てるくらいの時でしか、なかなかそんな経験できないと思います。
何回でもプラン描きますよ。
何十回でもデザインします。
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全五回に渡って、私の考える家づくりのポイントをお伝えしてきました。
いかがでしたでしょうか。少しは参考になったでしょうか。
家づくりを申し込んで頂いた方にいつも聞いている質問があります。
「好きな場所はありますか?」
「心に残る風景はありますか?」
「楽しい時ってどんな時ですか?」
私は、そこにどれだけ近づけるかが「良い間取り」そして「良いデザイン」だと思っています。
家づくりはとってもシンプルなんです。
シンプルに本気なんです。
それが、良い家づくり、後悔しない家づくりのポイントです。
皆さんの元にも、ただただ「好きな家」が届きますように。