こんにちは!白岩です。
東日本大震災以降、人と人との繋がりや絆、助け合う事の必要性、お互い様の心など、思いやり、想い合いの価値が再認識され、モノづくりもビジネスもサービスも、「モノからコトへ」と叫ばれて久しいですが、家づくりにおいても、いえ、人の命を守り、人生で最も高い買い物である家づくりこそ、顔の見える関係が重要な時代になってきました。
でも歴史的に見れば、顔の見える人の手による家づくりは古来より当たり前に行われてきました。
工場の機械による大量製造の組み立て式になったのは、ここ50年程度の話です。
戦後、高度成長期を迎え住宅不足に陥った日本にとって、驚異的なスピードで量産できる家のつくり方は、当時はまさに希望でしたが、やはりその場しのぎで作った技術は長くは持ちませんでした。
分かりやすく言えば、簡単につくったものはやはり簡単に壊れるんですね。
それらの住宅はその後30年と持たずに壊れていく事になります。
その後、ツーバイフォーと呼ばれる家のつくり方が普及しました。
今でも多くの住宅メーカーで採用されているため皆さん聞いた事があると思います。
ただ、、ツーバイフォーはアメリカで開発された工法のため日本の気候には合いませんでした。
私もまだ社会人になりたての頃、アメリカからツーバイフォーの技術を日本に持ち込んだ創始者の人とよくお仕事させて頂きましたが、湿気対策に四苦八苦していました。
乾燥気候のアメリカでは問題ありませんでしたが、「湿気」の国である日本では次々に木材が腐っていってしまったんですね。
ツーバイフォー住宅は簡単に言えば、合板でできた壁をパタパタと組み建てていく作り方です。
日本古来の、柱と梁で骨組みを作ってから屋根や壁を貼っていく作り方と比べると、スピードは雲泥の差で、強度も高めやすく、実に合理的なアメリカらしい工法でした。
(ただその強度にはちょっと問題もあって。。長くなるので、計算上の強度は簡単に高められるとだけ言っておきます)
しかし、壁を組み立てていくわけですから良くも悪くも「すき間」が無かったんですね。
そのため、湿気の逃げ道が無くなってしまい木がカビてしまったんです。
皆さんも、お風呂や洗面所など湿気が多くて通気性が悪い場所で壁や床にカビが生えているのを見た事があると思います。
木にもカビが生えるんです。
木材腐朽菌と言って、なじみのある緑色ではなく白いカビ。
(閲覧注意なので画像は自粛します。興味ある方はググってみて下さい)
これらに対し、日本古来の工法は「在来工法」それを現代風にアレンジしたのが「在来軸組工法」と呼ばれている工法です。
日本で生まれた工法ですから当然、湿気をはじめとする日本の気候に合ってはいるのですが、なんせ、夏は暑くて冬は寒い。。
多分皆さんも、おばあちゃん家とかで経験あると思います。
日本の昔の民家はとにかく寒い。そして地震と火事に弱すぎて非常に危険。。
という事で、高耐震!高気密!高断熱!という言葉が、テレビ!洗濯機!冷蔵庫!みたいに住宅業界の三種の神器になりました。
でも皮肉な事に、これもまた「湿気」を考えない内に流行りになってしまったものですから、今度もまた柱梁がカビる家が増えてしまいました。
でも、湿気の事を考えた上で、高耐震・高断熱・高気密な、日本の気候に合った日本家屋はちゃんと造れるんです。
特別な技術もお金も必要ない。
ちゃんと考えて丁寧に造るだけなんです。
それにはやっぱり、レンジでチンするように工場でパッケージされた商品を説明書通りに簡単に組み立てるだけではダメなんです。
素材を見て、味見をしながら、コトコト煮込むように、じっくり・しっかり・丁寧に造らなければ。考えなければ。
多くの人にとって家づくりは一生に一度。
食事で言えば、最後の晩餐に何を選ぶかという事だと思います。
それが冷凍食品では、私は寂しいです。
奥さんの手料理か、おふくろの味か、それともお気に入りのレストランか。
いずれにしても、そこには人の手が、人の想いが、私たちの思い出が関わっているはずです。
人の住む家は人の手で。
原点だけは忘れないでいたい。
大切な思い出となる、そして出来上がった後も思い出がずっと続いていくような、顔の見える家づくりをしましょう!