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設計者のつぶやき | 健幸工房シムラ|自然素材で建てる自由設計の家。青梅市、あきる野市、八王子市、立川市の周辺エリア対応 注文住宅・リノベーション - Part 10

出張版☆家づくり図書館 ~家育の家~

熊本及び九州地方の皆さんにはお見舞い申し上げます。
今日は弊社モデルハウス「杜」を、支援物資の寄付受付けの場に提供させて頂きましたが、一日も早く穏やかな日常が戻る事を願いつつ、私たちにもできる事をしていきたいと思います。

 

 

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

久しぶりの家づくり図書館です。

 

テーマは「家育」

東日本大震災の前、世の中が太陽光発電やIHクッキングヒーターの登場でオール電化が流行っていた頃、家庭で火を見たことがないために、火を知らない、火に触ると火傷をするという事も知らない子供が増えたと聞きました。

火に限らず、家庭内だったらちょっと痛い、ちょっと擦りむいた、で済みつつそれで覚えて危険を察知する能力が付いていきますが、家庭内で何も学ばずに外へ出てしまったら、高い建物、車、がけ、川、、、そのちょっとが、大けがや命に関わる事ばかりです。

個人の自由が、わがままや自己中心的思想とはき違えられ、責任を負わされる会社や大人が増えてしまい、世の中が何でもかんでも保全をとる、過保護な時代になりつつある今。。

私たちは「住んでいるだけで家育になる家」を目指したいものです。

 

例えば、シムラのモデルハウス「杜」には、枝付きの磨き丸太が立っています。

構造的には枝なんて関係ないし、過保護的に考えてしまうと危ないだけのデザインです。

しかし、家づくりにとって最も大切なポイントはそこだと考えています。

 

時々、「何のために家をつくるのか」と自分に問いかけます。

それは、家に住む側でも、家を提供する側でも、同じです。

 

何のために家をつくるのか。

 

家づくりだけでなく日常のあらゆる事に通じると思いますが、

私たちは、ついつい目の前に起こる即物的な何かや、数字や文字に追われ、それらばかりに捉われがちで、、、

ふと冷静になった時に還り見ると、目的と手段が逆になってしまっていたりします。

 

何のために家をつくりますか?

 

どんな風に暮らしていきたいですか?

 

根源にあるのは「安らぎ」とか「愉しい」とか「好き」いったとてもシンプルな感情だと思います。

発想もデザインも技術も数値も理論も、、、その感情、心を満たすための手段であり、決して目的ではありません。

そんな家を、そんな暮らしを、そんな場を創りたい。

木の家づくりから、木の暮らし、木の住環境づくりへと、意識を広げて出来上がったのが「杜」です。

その丸太の不規則な枝、曲面の天井、壁の漆喰のコテ模様など、「空間のリズム」は無機質で幾何学の工業的な家では育めない、子どもたちの心や感性を育んでくれます。

それら含め「杜」全体に言える事ですが、公園のような空間づくりを、建築そのものが遊具になるような家づくりを目指しました。

ベンチのように座れる床、登れる柱や壁、寝っ転がって見ていて楽しい天井、お絵かきできる土間、、、

子どもの心を育む住まい。自然界の素材に触れ、自然界のリズムを感じられる暮らし。

 

これからも、さらなる「家育の家」をご提供できるように研鑽を積んで行きたいと思います。

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出張版☆家づくり図書館~住宅4.0~

こんにちは!空間クリエイターの白岩です。

来週末、4/16-17 新しい住宅の完成見学会を行います!
~ 一つ屋根の下で ~

 

見学会の広告のために、建て主のWさんの事や今までの打ち合わせの事を思い出しながらスケッチパースを描いていたら、幼い頃に見ていた「一つ屋根の下で」というドラマが頭をよぎりました。
で、チューリップの「サボテンの花」が頭の中をぐーるぐる。笑
この家は屋根が大きなテーマでした。
初めて敷地を見た時、周りにも住宅が点在する閑静な住宅地、それも割と古くからある家が多かったので、周りとの景観の調和をまず考えました。それと同時に、謙虚さと内なる強さを併せ持つ、日本の心。武士道のような家が良いのではないかと直感しました。
それは、若いけれどどこか古風な所も感じる施主のWさん夫婦に対する私の印象でもあります。
「新しい空間だけど、どこかレトロな風情を感じれる、心安らぐ家にしたい」

 

そんなWさん夫婦の想いとも相まって、打ち合わせはとても楽しく進みました。
そして現れたのが、日本の寺社仏閣にも通ずる、できるだけ建物の高さを低く抑えつつも、しっかりと内を守るゆるぎない屋根を持つ家の姿でした。
それはまさに、周りに配慮し謙虚な心を持ちながらも、誰よりも強く大切な人を守るという、
日本文化の美意識、日本人のアイデンティティそのものです。
日本人の、日本人による、日本の家

 

話はちょっと飛びますが、、

 

アメリカの有名な経済学者、フィリップ・コトラー氏がマーケティングについてこんな定義をしています。

 

マーケティング1.0:製品中心主義(Mind)

マーケティング2.0:消費者志向(Heart)

マーケティング3.0:価値主導(Spirit)

マーケティング4.0:自己実現(Self-Actualization)

 

同じ世の中の事ですから当然ですが、これを最初に見た時は驚きました。
現在の住宅業界にもまさに当てはまるからです。
住宅産業で言うと、
住宅1.0 :大量生産ハウスメーカー時代

住宅2.0 :個性的な注文住宅時代

住宅3.0 :暮らし提案住宅時代

住宅4.0 :これからの住宅

 

1.0、2.0は時代遅れ。

現在は、3.0が主戦場の住宅戦国時代です。

でも、、、私は4.0をずっと目指してきました。

 

住宅4.0

 

それは、理屈や理論を超えた「心の在り方」だと感じています。

自己実現。

大量生産の工場都合でもない、

建築家の芸術作品でもない、

お客さんのYESマンでもない、

性能でも、デザインでもない、

ただ「好き」な家。

多数決のモノサシではない、

既成概念にも捉われない、
「わたし」の正直な家。

その家の創り方は、「プロフェッショナルが導きあなたが見つける家づくり」という事の先にあるのかなと考えています。
なんとなく、この家はそんな家に近づけたかなと自負しています。
どうでしょう?Wさん。笑
引っ越したら、美味い酒でも飲みながら、ホンネ 聞かせてくださいね☆
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家づくり図書館 番外編 ~あの日から~

こんばんは。設計士の白岩です。

今日は、私にとって、おそらく皆さんの中の多くの方にとっても大切な日だと思うので、少し真面目な内容をつらつらと。。

この内容になると完全に公私混同します。ごめんなさい。

でも、建築にとって、皆さんの家づくりにとって、建築家という生き方にとって、根本的で最重要なことだと思いますので、

あえて家づくりセミナーの題材にさせて頂きます。

 

東日本大震災から5年ですね。

もう、なのか、まだ、なのか。毎年わからなくなります。

個人的な事を思い出すと、ちょうどあの時は新宿にある設計事務所で保育園の設計を担当していました。

個人住宅を何軒か担当し終え、この保育園で一区切り付け、独立を意識していた頃でした。

あの頃の私は、保育園という子供たちの未来を創る場所を設計していた事もあって、どこか社会の未来にまで意識を発展させ、野望にも似た夢と可能性に意欲を燃やしていた時でした。

そして、2011年3月11日 午後2時46分。

最初はいつもの通り、あ、地震かぁ。なんて感じでした。

そして、「割と強いね」なんて同僚と話しながら棚から落ちそうな時計を持ち上げた辺りから、どんどんとめどなく揺れが大きくなり、まずい!と思ってみんなで外に出ました。

その後は皆さんもご経験された通りです。

揺れがおさまって少しした後、近所の電気屋さんのテレビで流れていた信じがたい映像。。

 

建築が、家が、暮らしが、生活が、夢が、希望が、人まで、全て流されてしまった数日後の被災地の映像を見て、私は建築が分からなくなりました。

虚しいというか。しばらく建築を考える事ができませんでした。とりあえず仕事は止められないから、図面を無表情で淡々と修正する日々が続きました。

ほんとに何も創造ができなかった。単純に設計が楽しくなかった。何やっても楽しくなかった。いっそ全部放り投げて山にでもこもってしまいたかった。

今でもあの時の感覚を思い出すと、胸がなんか変な感じになります。

 

私は福島県が地元という事もあって、あの後色んな人から心配の連絡やあたたかい言葉を受けました。

卒業以来連絡もしてなかった古い友人たちとも連絡を取り合いました。

全く知らない人たちとも、色んな形で何らかのコミュニケーションが生まれました。

なんというか、みんなに共通の目的ができたというか。。。

 

それまでは、IT革命、インターネットによる情報化社会になって、個人の力が社会に直結する時代でした。

事実私も、インターネットを使えば世界中の設計コンペに参加できたし、日本中の人々に営業ができ、従来の設計だけでなく様々な住宅産業ビジネスの展開も見込め、一人で何でもやっていけそうな手ごたえを感じていました。

 

でもあれほどの自然の力の前では建築も自分も全くの無力だという事を、まざまざと見せつけられました。

それから私は一人で独立する事を止め、仲間やチームを求めるとともに、家を単体で考える事をしなくなり、今こうして皆さん家づくりのお手伝いをしています。

 

この5年の間に色んな仲間や同志、先輩に出逢いました。

住宅設計からの様々な発展、暮らし全体への展開、地域社会への貢献。

皆さんの毎日の生活全体を彩る様々なモノやコトが見えて来ました。

物としての家ではなく、建築物としての住宅でもなく、人の暮らしの場としての住まい、毎日の生活環境を。

一人の建築家による作品ではなく、家づくりのコラボレーションチームによる○○さんの家を。

そして、数値やロジックを超えた、単純に「好き」になってもらえる家を。日々の暮らしを。

 

未来に向かってお届けしていく事を、今日という日に誓いたいと思います。

 

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出張版☆家づくり図書館⑪~心の根っこにあるもの~

こんにちは!設計士の白岩です。

2016年になったばかりですが、もうじき2020年ですね!

 

2020年と聞いて認定低炭素義務化と思った建築関係者!マジメか!笑

2020年と言えば、東京オリンピックです。

私は1964年の東京オリンピックは当然知りませんが、焼け野原から復興し、世界一の東京タワーができ、日本中の人々に未来への夢と希望を与えてくれたと聞いています。

 

成熟社会、グローバル社会となった現在、次の東京オリンピックは私たちに何をもたらしてくれるでしょうか。

 

 

話は変わりますが、建築学科って工学部にもあるし芸術学部にもあるって知っていますか?

 

芸術的要素を持ちつつ、工学的に成立していないと、実現しないからです。

 

ゆえに、総合芸術と呼ばれます。

 

工学である以上、私たちはできるだけ合理的に建築を考えます。

 

コンピュータの前に座り、計算機を片手に、合理的に柱を建て、合理的に梁を組む。

 

一つ一つの案件が終わる度に私たちはそれらのデータを頭に蓄積していきます。

 

それはとても重要な事です。

 

しかし、それ以上に私たち設計者の記憶に残り、心に蓄積しているのは真っ白なキャンパスに引いた最初の線だったり、建て主さんの笑顔だったりします。

 

私は幼い頃から数学がとても好きでしたが、もし建築に工学的要素しかなかったら、きっと今頃はこの仕事を続けてなかったと思います。

 

人の心に蓄積し、未来への喜びを創り出す建築の芸術的側面。

 

以前、ある美術館の国際設計競技に参加した時、海外の設計士の方に、日本的空間や和の本質は、理論や学問ではなく、感性や心といった部分にあるので、根っこの所は日本人でないと感じ取れないね。と言われた事があります。

 

どの国でも文化や風土の根っこはそうなんだと思います。

 

著名なアナウンサーが「おもてなし」という5文字で日本人、日本文化の心意気を世界に伝えました。

 

そんな、日本人の日本人による日本的空間。

 

O・MO・TE・NA・SHI の家 モデルハウスが今週末いよいよOPENです。

 

ぜひ足をお運びください。

 

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家づくり図書館 ~この時に、この場所で、あなたらしい家づくり~

こんにちは!設計士の白岩です。

今回は、私たち健幸工房シムラがお届けする家の根っこにある想い、家づくりへの気持ち、そして建った後の皆さんの暮らしへの願いを少し綴らせて頂きます。

 

「和の心、日本のカタチ」

 

家のカタチは人の数だけあります。

 

しかし、結果どのような姿形に出来上がったとしても、全ての人に共通する事が一つだけあります。

 

それは、

 

『家が建つ場所が日本だという事』

 

じゃあ、昔ながらのいわゆる「和風住宅」が一番良いのか。

そういう訳ではありません。

昔の人の知恵と経験の結集ではありますが、近代日本になるまで世界を知らなかったからそれしかできなかったというのも確かです。

なので、和風住宅も数ある「和」のカタチの中の一つです。

そして、本来の「和」に込められている意味とは表層やカタチの事ではありません。

 

私も今まで、和風住宅、アメリカンスタイル、カントリーナチュラル、ヴィンテージ、スタイリッシュ、エレガント、、、、
様々な住宅のデザインを経験してきましたが、北欧の家とかアメリカ西海岸の家とかをただ真似た家はどうにも馴染まなく、
浮いてしまっていました。夏は暑く冬は寒く、しまいにはすぐ家がカビたり。。。

 

造り方や材料の使い方は日本の使い方にし、雨や雪や四季の変化を考えて少しデザインを日本的にアレンジしてあげたら、
何のことはない、他の多くの日本の家と同じように日本に適した何の問題もない家になりました。

 

スタイルにはそれぞれ、日本でいう和風住宅のようにその場所の風土と歴史から出来上がってきた「背景」が必ずあります。

 

でもその背景をきちんと知った上で、自分らしく、愉しく、色んなスタイルの「自分の家」を創り上げることは私は大賛成ですし、それこそが「和」の本質だと思います。

 

金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」という詩の中に「みんな違って みんないい」という言葉があります。

私はこの詩を読んだ時、あ、これだ!これが日本の和だ!と直感しました。

みんな違うという当たり前の前提を理解した上で、それぞれの良いところを引き立て合い、
歩み寄ってより良い関係を築き、より良い未来へ向かっていこうという姿勢。

 

それが「和」だと考えます。

 

もう一つ、

とても簡潔で分かりやすいので学生に教える時などによくパクらせて、じゃなくて引用させて頂くのですが、

千利休が残したとされる「和敬清寂」いう四文字熟語。解釈していくと和の心が込められています。

 

①人と人の和
おもてなしの精神。自分とは価値観や趣味嗜好が異なる相手を主として喜ばせる精神。
それは他者を理解する姿勢がなければできない。
②人と物の和
人と物との距離感、バランス。
人の五感に影響を与える物と、影響を与えられる人との関係性。
③物と物との和
どの物と物の取り合わせ、組み合わせがそれぞれを一番引き立たせることができるかの配慮。
茶道の心得ですが、そのまま家づくりに全部当てはまると思います。
当たり前ですよね。
自然物以外の世の中の全てのモノやコトは「人」が「人」のために生み出したのですから。
それがいつしか「人」のためではなくなって、相手のバランスを崩し、己のバランスも崩していくわけで。。
答えはとってもシンプルなんです。
これからも「人」のための家、「人と空間の和」を追求していきます。
その先に、皆さんのただ愉しい暮らし、当たり前に素敵な毎日が生まれるように。

 

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★これまでの記事一覧★

家のカタチ
出張版☆家づくり図書館①〜家づくりは量より質〜
出張版☆家づくり図書館②〜失敗しない家づくり〜
出張版☆家づくり図書館③〜収納〜
出張版☆家づくり図書館④~日本のカタチ、心のカタチ~
出張版☆家づくり図書館⑤~快適さのヒミツ~
出張版☆家づくり図書館⑥~間取りのヒミツ~
出張版☆家づくり図書館⑦~住宅会社の選び方~
出張版☆家づくり図書館⑧~家って~
出張版☆家づくり図書館⑨~家づくりのバランス~

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